低迷していたビットコイン価格が上昇に転じています。日本では今年1月に発生した仮想通貨の不正流出事件以後、ブームはすっかり下火になっていますが、何が起こっているのでしょうか。

写真:アフロ

 ビットコイン相場は、昨年12月に1ビットコイン=200万円を突破するなどバブル的な上昇を見せましたが、その後、価格は急落。1月に入って仮想通貨取引所大手のコインチェックがハッキングの被害に遭い、580億円もの仮想通貨が外部に流出するという事件が発生。同社はネット証券のマネックスグループの傘下に入りましたが、巷のビットコイン熱はすっかり冷めてしまいました。

 ビットコイン価格はその後、60万円台まで下落しましたが、7月に入って相場が反転。月の後半には急上昇ともいうべき動きを見せ、100万円を伺う状況となりました。

 ここに来て価格が急上昇したのは、米国においてビットコインのETF(上場投資信託)組成の噂が流れているからです。昨年、複数のファンド運用会社がビットコインETFの申請を行いましたが、米国の証券取引委員会(SEC)は流動性などに問題があるとして申請を却下しています。しかし今年に入って、シカゴ・オプション取引所を運営するCBOEグローバル・マーケッツがSECにビットコインETFの認可を申請したことで、にわかに市場が騒がしくなりました。申請のスケジュールなどから、8月10日前後に認可されるか否かの判断が下るのではないかとの観測が広がり、個人投資家を中心に買いが広がっている状況です。26日には、著名な仮想通貨投資家が申請していたETFが認可されなかったことを受けて価格は一時急落したものの、その後は持ち直しています。

 一時期の熱狂は終了したものの、米国のシリコンバレーや欧州など、一部の地域では、ビットコインに関連したビジネスは依然として活発ですから、こうした観測が出てくることも十分にあり得ると考えられます。

 しかしながら、最近の価格上昇は、明らかに市場に広がった観測に基づくものですので、何か具体的なアクションがあったわけではありません。申請されたETFが本当に認可されるのかはまだ分かりませんから、あくまで投機的な動きであることを理解しておく必要があるでしょう。

 今回の価格上昇は、ビットコインがETFというリアルな世界での金融商品に組み込まれることを期待した動きなわけですが、このように噂で価格が乱高下してしまうと、逆に正当な金融商品としての価値を損ねてしまうという皮肉な側面もあります。仮にビットコインが金融市場の一角を占めることになるとしても、それまでにはかなりの時間がかかりそうです。

(The Capital Tribune Japan)