西日本を中心に甚大な被害が出た「平成30年7月豪雨」(写真:ロイター/アフロ)

 西日本を中心に甚大な被害が出た「平成30年7月豪雨」で、犠牲になった場所が推定できた犠牲者(死者・行方不明者)のうち、土砂災害は約9割が土砂災害危険箇所またはその近くで、洪水など水に関わる災害は約6割が浸水想定区域で、それぞれ被害に遭っていたとする調査結果を、静岡大防災総合センターの牛山素行教授がまとめた。牛山教授は「多くの被害が、災害の発生がある程度想定された場所で起きたといえる」と話している。

静岡大防災総合センターの牛山素行教授

 調査の結果は、日本気象協会(東京都豊島区)が3日に開いた現地調査速報会で報告された。牛山教授は、総務省消防庁の資料やテレビや新聞などの報道などを基に、1999〜2017年の風水害の死者・行方不明者1011人が被害に遭った場所や犠牲となった原因を調べている。今回、同様の方法で平成30年7月豪雨についても、現時点で把握している死者・行方不明者231人について調査を行った。

 報告によると、犠牲になった原因は土石流など土砂災害が125人(約54%)と最も多く、次いで洪水が82人(約35%)。土砂災害が多いのは従来の調査結果と同様の傾向だが、洪水の犠牲者の比率がこれまでより高いのが特徴だという。また、洪水の犠牲者のうち、複数の河川が破堤した岡山県倉敷市真備町での犠牲者は51人と推定。災害前後に空中から撮影した写真を見比べて判読した結果、同市では、氾濫した水によって流された家屋は7箇所とそれほど多くなかったことから、「洪水による犠牲者のほとんどは屋内で遭難した可能性がある。こうした形態はまれだが、家が流されにくくなった現代ならではの特徴かもしれない」としている。

日本気象協会の本間基寛・専任主任技師

 最も多かった土砂災害については、犠牲になった場所が推定できた108人中98人が土石流危険渓流や急傾斜地崩壊危険区域など「土砂災害危険箇所」またはそのごく近くで被害に遭っていた。一方、洪水や増水した川に近づいて被害に遭うなどした犠牲者については、同じく犠牲になった場所が推定できた56人中34人が浸水想定区域で被害に遭っていた。牛山教授によると、過去の災害に比べ、浸水想定区域内で犠牲になった割合が高いが、「倉敷市真備町が浸水想定区域だったことが影響している」という。

 牛山教授は「緊急にとりまとめたため、調査結果の数字や見解は今後変更される可能性がある。ただ、ハザードマップなど地域の危険性をある程度の精度で提示するという点では、近年明らかに大きな進歩があったといえそうだ。それでも大きな被害が発生したのは重い課題。災害に関する情報を出す側だけが改善を進めても問題解決には向かわないのではないか」と話している。

 また、速報会では日本気象協会の本間基寛・専任主任技師が今回の豪雨の特徴について「1時間や3時間といった比較的短い時間の雨量は記録的ではないが、48時間以上などの長時間の雨量が多かった」と指摘。「だらだらと降り続いたため、人々が危機感を感じにくかったのかもしれない」と推測した。