日本ボクシング連盟の山根会長は今日12時に進退を表明するが、なぜ追放とならなかったのか?

日本ボクシング連盟の臨時理事会が7日、大阪市内のホテルで行われ、山根明会長(78)の進退を山根会長自身に一任することが決定した。山根派と言われている理事の約20人が造反、集団辞任すると共に、臨時理事会での辞任、退陣を迫り、そこで拒否された場合は、理事会決議により会長職の解任決議を通す考えでいたが、結局、それらの人事手続きには至らず、山根会長自身に進退を一任するという“灰色決着”となった。

 なぜなのか?
 実は、この2日間にわたって山根派の理事の代表が水面下で山根会長と接触して「私たちも辞めるので会長も身を引いてください。お体も心配です」という辞任勧告を行っていた。だが、山根会長は「潔白が晴れるまで辞めない。暴力団の連中の脅しには屈しない」と辞任を拒否、当初、この日の臨時理事会も欠席する考えを固めていた。だが、側近の理事が、この日、再度、山根会長へ臨時理事会への出席を説得した。

「解任、追放というような不名誉な形でなく、ここまでの会長のボクシング界への貢献を考慮して、自ら身を引くという潔い引き際にしていただきたかった」という配慮だ。山根会長は、その説得に折れて新大阪のホテルで行われる臨時理事会へ足を運んだ。

 岐阜で行われていたインターハイ終了後、臨時理事会へ集合した理事は、会長自身が反社会的勢力との交友を明らかにしたことで、もはや社会的な責任を避けられない事態に陥ったことと、山根会長自身の健康状態への懸念などを理由に辞任による退陣を迫ったが、この場で聞き入れられることはなかったという。

 3時間以上の協議を終えた山根会長は「明日12時に私の生涯、男としてのケジメの話をするので時間を下さい」と断言。「(理事会では自分の)健康を気にしてもらえた。(解任などの)反対はないですよ。理事がやめさせよう(という動き)もない。これ以上、会長を傷つけてはならないと、健康に関して心配してくれた」と理事会の様子を説明した。さらに、山根会長は、「いろいろな意見がありました。(3時間の)時間がかかったというのは、これから(連盟を)どうしていくのか、組織をどうしていくか、という話をした」と続けた。自らの退陣後の連盟のあり方についても議論したという。

 実は、20人以上の理事が辞任届けに署名捺印を終えていたが、この日の理事会の参加者は、全理事30人中15人に満たなかったという。遠方の理事が来れないという理由もあった。当初、山根会長が辞任を了承して表明しない場合は、解任動議を提出して、解任決議を通す考えでいたが、それには過半数を超える理事の出席と、過半数を超える票数が必要で、今回は、反対派の抵抗もあり人数が揃わずに泣く泣く断念したのだ。力ずくで追放できないのならば、もう山根会長の良心に委ねるしかなかった。
 そこで「進退一任」という結論に至ったのだ。そこには、43年にわたってボクシング界に尽力してきた山根会長の最後のプライドを尊重する意味と、辞任であれば、その後、臨時総会を開き、山根会長の理事職の解任を要求するような煩雑な手続きを踏まなくてもいいという狙いもある。

 山根会長は、「歴史に名を残した男でございます。自分の判断は自分で決める。右か左かはっきりする」とも明言した。関係者の話によれば、臨時理事会でのやりとりでは、山根会長は、これまで声高に訴えていた「絶対に辞めない。暴力団の脅しに負けて辞めることはない」という主張をそこまで押し通すことはなく、辞任の発表が決定的だという。