日本ボクシング連盟の山根元会長の側近、吉森専務理事の会見は腐りきった組織のを露呈するようなものだった

日本ボクシング連盟の吉森照夫専務理事が8日、都内の岸記念体育館で「日本ボクシングを再興する会が指摘する点に関し、今現在お答えできる範囲で皆さんにお伝えしたい」との理由で緊急記者会見を開いた。30人の理事全員に辞任の意思があることを明らかにしたが、助成金の不正流用の隠蔽工作にかかわった内海祥子常務理事を新体制でも残すことを要求するなど、本質的な問題意識が欠けている組織のガバナンス不全を露呈した。また再興する会が、この日、提示した審判不正にかかわる音声データについても、一部を認めたものの反論、擁護を繰り返して女子ボクシング参加で話題を集めた山崎静代(南海キャンディーズのしずちゃん)や、現WBA世界バンタム級王者、井上尚弥(大橋)の名前を挙げて、間違った認識で辞任表明した山根明元会長の功績を述べるなど、今なお、連盟に問題意識が薄いことも明らかにした。最悪の自己弁護会見である。

 吉森専務理事は、各種行事へ対処しなければならないため、現理事での連盟運営をしばらく続ける考えも明かしたが、山根元会長のイエスマンだった側近たちを、即刻、退陣させ、新体制へ一新せねば、“ドン”山根元会長が辞任しただけでは、連盟の体質改善、改革が前へ進まないことになる。

 まったくもってズレていた。
 会見時間が限定され1時間もなかった山根元会長の側近、吉森専務の記者会見は、あきれたと同時にあまりもの問題意識の希薄さに驚かされた。連盟がコンプライアンスを守れずガバナンス不全に陥っていることを世間に知らしめるには、いい機会だったのかもしれないが、腐っていたのはドンだけではなかったのだ。

 山根元会長は辞任表明したが、説明不足で、辞任したのは会長職なのか、理事も含めてなのか、正会員としての関西連盟会長、奈良県連盟名誉会長も辞任したのか、がわからなかったが、吉森専務も、山根元会長と連絡をとりながら、その確認作業を怠っていた。しかも、報道陣から、その不手際を追求されると「しつこい」と逆ギレする始末。世間が注目している人物の辞任の正式なアナウンスは、本来、連盟が行わねばならないのだが、それを怠っている時点で、この組織のガバナンス不全がよくわかった。しかも、この吉森専務は東大ボクシング部出身の弁護士。なおさら残念な対応だった。

 吉森専務の1時間弱の釈明会見をネットで見た理事の一人は、ある関係者にこう語ったという。
「臨時理事会で言っていたこととまるでニュアンスが違う。悔しくて、情けなくて涙が出る」
 臨時理事会での発言と、まるで違うニュアンスは、理事の身の処し方にあった。

 7日に大阪で山根元会長が出席の下、行われた臨時理事会には、25人の理事(2人の委任状をプラス)が出席する形で「自分らも理事を辞任するので、会長も(辞任を)お考え下さい、人心を一新しましょう」と、山根元会長に辞任を迫る際、理事の“総辞職”の意思を表明していたという。
 だが、この日の会見では、「全員が辞めるが、正式書面で意思確認する必要がある。常務理事以上に一番責任があり、原則的に辞任するが、その他の理事は残るか、再確認しないとわからない」と、理事全員辞任とは言えない微妙な言い回しに変わっていたのだ。山根元会長に対しては書面確認を怠り、理事に対しては書面での確認の必要性を説く。現段階では、山根元会長の息子で、次期会長候補だった昌守会長代行だけが、文書による辞表を提出しているという。

 しかも、さらに驚いたのは、常務理事の一人で、50年にわたり経理を担当、金庫番といわれていた内海祥子氏に対して「辞めて欲しくない」と、残留要求を会見の場で口にしたのだ。

「内海は、50年以上、連盟職員として一生懸命働いた。すべての事情を知っているし(ボクシングを)愛して献身的に働いた。辞めて欲しくないと思う」

 常務理事には「一番責任がある」のではなかったのか。理解できない矛盾発言である。
 しかも、内海氏は、山根元会長の側近として、不正に手を染めていた人物。成松大介氏のJSC助成金の不正流用の問題が発覚しそうになると、隠蔽工作を主導し、この日、再興する会が、公開した審判不正に関する2つの音声データのひとつは、内海氏の会話だった。