渡辺麻友(撮影:志和浩司)

 東海テレビ制作、フジテレビ系で放送される「オトナの土ドラ」枠は、週末土曜日の深夜(午後11時40分)という時間帯もあって、異彩を放つ作品が多い。佐野史郎が団地を偏愛する謎の老人を熱演した「限界団地」が先月終了し、かわって4日から登場したのが渡辺麻友主演「いつかこの雨がやむ日まで」だ。昨年をもってAKB48を卒業した”まゆゆ”こと渡辺だが、グループ卒業後初となる連ドラ出演で主演を務める。アイドルの中でも王道路線を歩んでいたとされる渡辺が、女優として恵まれたスタートを切った。

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“王道アイドル”のイメージとはかけ離れた役柄に挑戦

 渡辺は、2015年の「戦う!書店ガール」では稲森いずみとともに主演するなど、過去にもドラマ主演の経験はある。しかしAKB48の一員としてドラマに出るのと、卒業してソロになって出るのとでは重みも覚悟も違ってくるだろう。「いつかこの雨がやむ日まで」は、ミュージカル女優に憧れ、11歳のとき兄・国彦(桐山蓮)が殺人犯として逮捕されたために人生が一変した主人公・ひかり(渡辺)が、劇団に所属しつつ真相を追求する姿を描くサスペンス要素の濃いドラマだ。

 第1話では、生活のためにキャバクラ嬢として働く姿や、精神的に不安定な母・由布子(斉藤由貴)を支えつつ、殺人犯の妹として生きる陰鬱な姿を見せた。出所した兄・国彦から、「俺は無実だ」と告白され衝撃を受け、次回の展開が気になるところだが、まだ女優としてのキャリアが浅い渡辺にとっては、これまで演じたことのない難役といえる。“王道アイドル”のイメージとはかけ離れた役柄だ。

 ただ、もともと小学生のころは会話の少ない女の子で、学校が終わって帰宅すればネットでアニメを観るなど典型的なインドア派だったというから、明るく元気な笑顔を振りまく王道アイドルというのも、渡辺にとってはある意味、演技だったとみることもできる。

AKB時代は後輩からあこがれられる先輩 ブラックキャラも愛される理由

 渡辺はAKB48在籍時代、後輩からあこがれの先輩として名前をあげられることの多いメンバーだった。王道アイドル路線を歩んできたイメージ的なものへのあこがれもあるにせよ、ふだん間近で接する後輩たちから慕われるのは、実像も真面目だったからだろう。そんな渡辺だが、ファンからはブラックな面も愛されてきた。本来の渡辺がそういう面を持っているのかどうかは知らないが、王道アイドル路線を歩むのと同時進行で、ユーモア混じりの黒いキャラも小出しにしてきたのだ。振り返って考えてみて、それらすべてが渡辺麻友が演じてきたアイドル“まゆゆ”ということであるのなら、そのキャリアは今後の女優業に十分活かせそうだ。

 そんなふうに考えていくと、清純派アイドルという縛りから解放されたという証を今回のひかり役でぜひとも見せて欲しいところなのだが、第1回を見る限りでは物語の展開上もまだまだ本領発揮には至っていない印象だ。これから回を重ねるごとに、ひかり役をどのように演じていくのか期待したい。

次も観たい度★★★★☆

(文・写真:志和浩司)