国際連合児童基金(ユニセフ)と日本の住宅設備最大手・LIXIL(リクシル)は、世界の子どもたちの衛生環境の改善に向けた水と衛生の分野で初のグローバルパートナーシップを締結した。

インドで3人の少女がリクシルの開発途上国向け簡易式トイレを手にする様子(リクシル提供)

 「Make a Splash! みんなにトイレを」と名付けられたこの取り組みは、衛生的なトイレの整備・普及を通じて、世界の子どもたちの生活環境を大幅に改善することを目指している。水と衛生の分野でユニセフが結ぶグローバルな「シェアードバリュー・パートナーシップ」であり、日本企業との締結は初めてだ。

 世界では、今でも約23億人(約3人に1人)が安全で衛生的なトイレのない生活を送っており、このうち約8億9200万人が日常的に屋外で排泄を行わなければならない環境に置かれている。

 屋外排泄は、極度の貧困と不公平性を示す象徴ともいえ、本来は未然に防ぐことができる5歳未満の子どもの死亡のうち、圧倒的に多い原因が水と衛生に起因する病気である。

 実際、世界では安全な飲料水が得られず、劣悪な衛生環境による下痢性疾患によって毎年、28万8000人もの5歳未満の子どもが命を落としている。病気の感染拡大を予防し、子どもたちが健康で尊厳ある生活を送れるようにするためには、安全で清潔なトイレは不可欠といえる。

 ユニセフとリクシルの今回の取り組みは、それぞれの強みを活かしながら、持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット6.2、すなわち「2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う」という内容の実現を目指すものだ。

 両者はこれまでアフリカで、安全で衛生的なトイレを必要とする人々に対して、現地のニーズにあわせて設計したトイレを提供してきた協働の実績がある。この取り組みを拡大し、より多くの人びとの衛生環境を改善するための新たな連携のあり方について検討を重ねてきたが、今回の取り組みはその成果でもある。

 新たなパートナーシップでユニセフとリクシルは衛生市場を確立するとともに、トイレを必要とする人に低価格で製品が提供されるようマーケット主導型のプログラムを当面、エチオピア、タンザニア、ケニアの3カ国で展開する。

 さらに、衛生市場を確立することによって開発機会が創出できることを協働で政策提言し、より多くの人々への認知を図るとともに、各国でのプログラムの拡大を支援するため、リクシルは資金調達と啓発活動を広く行うという。

 ユニセフのシャネル・ホール事務局次長は「安全で衛生的なトイレがないことによって病気が引き起こされ、毎日800人の子どもが亡くなっている。最初の水質改善と衛生管理に関する『グローバルな価値共有パートナー』、それがリクシルだ。同じゴールを共有し、すべての人に衛生的な水とトイレを提供することが可能になる」とコメント。

 さらにリクシルの瀬戸欣哉・社長兼最高経営責任者(CEO)は「多くの国々で、衛生問題が人びとの健康に破壊的なダメージを与え、子どもたちの未来を奪う結果となっており、学校にトイレがないために、やむなく学校を中退する子どもたちがたくさんいる。衛生分野のグローバルリーダーであるリクシルは開発途上国向けにデザインした『SATO』という独自の商品があるが、ユニセフとの今回のパートナーシップを通じてすべての人びとの生活の質が向上すると強く信じている」と話す。

 世界各地で衛生的なトイレの必要性の啓蒙をしつつ、かつ企業が利益を出しながら持続可能な社会貢献を行うこうした価値ある取り組みは今後も広がる可能性がある。健全で競争的な市場を形成し、より多くの企業が参加できる仕組みに成長させる環境づくりも今後ますます期待されるだろう。

(3Nアソシエイツ)