電気自動車大手の米テスラが株式の非公開化を検討していることが明らかとなりました。短期的な業績向上圧力にさらされず、先進的な開発に専念したいとの意向ですが、理由はそれだけではないかもしれません。

(ロイター/アフロ)

 テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は8月7日、自身のツイッターに同社を非公開化する可能性があると投稿しました。

 同社は新型車である「モデル3」の量産体制の構築に手間取り、業績が悪化しています。1日に発表した4~6月期決算は最終損益が7億1753万ドル(約800億円)の赤字となり、四半期ベースでは過去最大の赤字を記録しました。手持ちの現金も少なくなっており、市場では何らかの資金的手当が必要という認識で一致しています。

 もっとも、同社の業績がよくないのは、製品が売れていないからではありません。CEOであるマスク氏は極めて高い目標を掲げる起業家として知られており、マスク氏の理想を追求し過ぎた結果、工場の設備投資が増加し、これが損失を拡大させているという図式です。一方で、こうしたマスク氏のアグレッシブな姿勢がテスラの魅力でもあり、このあたりのバランスをどう確保するのかが課題となっていました。

 5月に行われた会見では、アナリストへの回答を拒んだことから批判を浴び、次の会見では謝罪に追い込まれています。マスク氏は非公開化について、「テスラを短期的な考え方から解放する」と述べており、市場とのやり取りを回避するのが最大の目的と考えられます。

 株式を非公開化すれば、短期的な株価の変動を気にすることなく経営に専念できます。テスラの現状を考えると、組織のスリム化は必至の状況であり、上場していない状態の方が大胆なリストラを決断しやすいでしょう。株主が納得すればの話ですが、長期的で先端的な投資を継続できる可能性もあります。

 最大の問題点は上場廃止のための資金です。テスラの現時点での時価総額は何と7兆円に達します。これをすべて買い取る資金を確保することは容易ではありません。マスク氏はサウジアラビアの政府系ファンドと接触を認めているほか、一部からは専用のファンドを組成するという話が出ていますし、市場ではソフトバンクが買収を検討するのではないかといった噂も飛び交っています。

 いずれにせよ巨額の資金を短期間で確保するスキームが必要であり、実現は簡単ではありません。テスラの上場問題は、しばらくの間、証券市場では注目の的となるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)