日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

【写真特集】故郷内モンゴル消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第13回

水たまりの中でバスに乗る女性。少しの量の雨で下水が逆流し、道路が水びたしになってしまった=シリンゴル盟・シリンホト市(2014年6月撮影)

 今まで、12回にわたって内モンゴルの遊牧文化や遊牧民の日常生活や環境問題などを紹介してきた。そのほとんどはシリンゴル盟に拠点を置きながら撮影してきた。風景も美しく、その名は全国に知られている。そして、その政治的、経済的中心地にあるのがシリンホト市だ。

 都市建設で、マンションは次々建ったが、それに伴い、たくさんの問題が未解決のまま残された。例えば、夏に少しでも雨が降ると市内は洪水のようになってしまう。

 下水道の整備が行き届かず、さらにコストダウンのために設計よりも細いパイプを使用したことにより、少しの雨でも下水道は機能を失い、下水が逆流し、道路が冠水する。大雨の場合、あちらこちらで車が立ち往生することはよく見られる。下水の悪臭が町中に漂う。

 それに道路の土が見えないほど、市内のあらゆるところをセメントやレンガで固めてしまったので、雨水が地面に流れこむことすら難しくなってしまった。(つづく)

※この記事は「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第13回」の一部を抜粋しました。

内モンゴル自治区の地図


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。