日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

【写真特集】故郷内モンゴル消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第13回

わずかな売り上げで生活する市場で野菜を売る老人。経済発展から残されてしまったと言える=シリンゴル盟・シリンホト市(2014年12月撮影)

 今まで、12回にわたって内モンゴルの遊牧文化や遊牧民の日常生活や環境問題などを紹介してきた。そのほとんどはシリンゴル盟に拠点を置きながら撮影してきた。風景も美しく、その名は全国に知られている。そして、その政治的、経済的中心地にあるのがシリンホト市だ。

周さんが生活する改造三輪車。中では電気ストーブをなんとか使えるが真冬はやはり寒すぎる=シリンゴル盟・シリンホト市(2015年4月撮影)

 市民の生活も経済の発展の恩恵を受け、統計上は年々収入が右肩上がりだった。しかし、生活が苦しい人によく出会った。

 ある日町中を歩いていると三輪車を改造し、寝泊まりしている周さんと出会った。季節に関係なく、車内で寝泊まりしながら、自転車や家具などを修理して、僅かな収入を得ていた。どこかホームレスに近いような感じだった。

 何回も彼のところに通い、写真を撮った。ご飯や薬もよく渡した。去年から以前の場所では見当たらないので、心配で探したが、見つけなかった。

 ほかにも、市内でよく見かけるのが、三輪車に乗りながら、瓶、缶、ダンボールなどを集める人々だった。彼らはこのような資源ゴミを集め、それを売って生活している。その暮らしぶりはなかなか厳しい。(つづく)

※この記事は「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第13回」の一部を抜粋しました。

内モンゴル自治区の地図


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。