日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

【写真特集】故郷内モンゴル消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第13回

「民族風情街」。モンゴル民族の伝統的な工芸品や衣装などを扱う店が集まる商店街だ=シリンゴル盟・シリンホト市(2018年7月撮影)

 今まで、12回にわたって内モンゴルの遊牧文化や遊牧民の日常生活や環境問題などを紹介してきた。そのほとんどはシリンゴル盟に拠点を置きながら撮影してきた。風景も美しく、その名は全国に知られている。そして、その政治的、経済的中心地にあるのがシリンホト市だ。

 先述のエルド二・オボー(建設ラッシュが起きる以前はここが一番高いところで、シリンホト市の周囲の草原が見渡すことができた)から少し離れたところに「民族風情街」というモンゴル民族の伝統工芸や伝統衣装などを中心にした民族的な雰囲気が漂う商店街が作られた。

 私はシリンホトに来るたびにここを訪れ、日本の友人たちにお土産を買うのが楽しみの一つだ。近年、モンゴルの伝統衣装であるデールが再認識されて、結婚式やお祝いなど何かのイベントの際、必ず着るようになったお陰で、この商店会に沢山のデールを作る小さい工房が集中し、次から次へと自分たちのブランドを立ち上げている。

 そして、遠いモンゴル国からも専門店が参入してきた。

 商店街の一角にはモンゴル料理屋が立ち並んでいる。シリンホト市のモンゴル料理は観光客の間でも有名で、私もいつも日本から後輩が来る場合には、ここに連れてくる。一番大きな理由はモンゴル料理屋がシリンゴル産の羊や牛の肉を使用して、添加物などを一切使ってないことだ。食品の安全が大きな社会問題になっている中、安心で美味しく食べられるので評判がよく、注目されている。(つづく)

※この記事は「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第13回」の一部を抜粋しました。

内モンゴル自治区の地図


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。