長野県東部の東御市(とうみし)内の保育所で腸管出血性大腸菌(О26)の集団感染が発生、県は調査を始めました。14日までに園児の患者15人、園児と職員を含む無症状病原体保有者5人の合わせて20人の感染者を確認。県は感染拡大の防止などを指導し、厚労省も夏から秋の多発時期に向けトイレの清掃、トイレ後の手洗いの励行、食肉など食品の食中毒対策の徹底を呼び掛けています。

下痢や発熱、全員が快方へ

[写真]腸管出血性大腸菌О157(「NID 国立感染症研究所」の資料から)

 県によると、腸管出血性大腸菌は毒力の強い「ベロ毒素」を出し、腹痛や水様性下痢などの症状を引き起こします。代表的なО157のほか、今回のО26、О111などがあります。

 東御市のО26患者は8月4日に同市内の医療機関から保健所に届け出があり、園児らが保育所に通園していることが判明。同保育所への調査で1~5歳の園児15人の患者と、園児4人、職員1人の計5人の無症状病原体保有者を確認しました。

 症状は下痢、発熱などですが、現在は全員が治癒か回復に向かっています。保健所は保育所に対し、園児らの健康観察、感染の徹底を指導。感染を確認した園児については感染の恐れがないとの医師の判断が出るまで登園を控えるよう指導しました。

幼稚園などで発生、O157は死亡例も

[グラフ]腸管出血性大腸菌感染症は夏期に多い(「NID 国立感染症研究所」の資料から)

 長野県内の腸管出血性大腸菌感染症の届け出数は2016(平成28)年に36件、2017年に137件で、今年は8月14日までに62件と増加傾向。全国では2017年に3900件余に上り、今年は8月5日までに約1700件を数えます。

 県は感染拡大を防ぐ対策として(1)トイレは定期的に清掃し、トイレ使用後の手洗いを徹底させる、(2)手拭きは個別のタオルにするかペーパータオルを使う、(3)衛生管理と消毒の徹底――を呼び掛けています。

 腸管出血性大腸菌感染症は、これまでにも保育所や幼稚園で集団発生しています。「NID 国立感染症研究所」によると「1990年、埼玉県浦和市の幼稚園における井戸水を原因としたО157集団発生事件で、園児2名が死亡して注目された」例や、「2011年7月、岐阜県北部の保育所において、腸管出血性大腸菌О26による18名の集団感染事例が発生した」、「2013年7月、福岡市内の保育園において腸管出血性大腸菌О111による集団感染事例が発生した」などを紹介しています。

 厚労省によると、腸管出血性大腸菌による食中毒は、食肉を生や加熱不足で食べて感染する例が増えています。海外では放牧牛や野生動物のふん便で汚染された農業用水や土壌の影響とみられる生鮮野菜による感染事例もあるとしています。

 また、家庭での発症では症状の軽い場合に風邪や寝冷えと思い込んでいるうちに重症化し、死亡する例も。家庭での食品の扱いや調理に十分な配慮が必要だとしています。


■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説