「10分1000円」を武器に、理容業界に価格破壊をもたらした「QBハウス」がとうとう値上げに踏み切りました。税込み1080円の料金を2019年2月から1200円へ引き上げます。人手不足によるコスト上昇はあらゆる業界に共通のキーワードとなっていますが、10分1000円のヘアカットもその例外ではないようです。

キュービーネットホールディングス株式会社のサイト

 QBハウスは10分1000円で洗髪なしというお手軽なヘアカット・サービスで知られています。スタートした当初は、時間を節約したいビジネスマンや外国人などを中心に利用者数を伸ばしてきましたが、その後、同社の認知度が高まるにつれて、女性客なども来店するようになり、客層が拡大。2018年3月には東証一部市場への上場を果たしました。

 日本では理髪店が洗髪したり髭を剃るのは当たり前のサービスですが、利用者の中には、安い料金でカットだけをして欲しいという人も少なくありません。一方、海外ではカットだけというオーダーも可能なところが多く、同社はこの違いに目を付け、10分1000円のヘアカット事業を展開してきたわけです。

 しかし、QBハウスが低価格なサービスを投入したことで、既存の理髪店は大打撃を受ける結果となりました。このため業界団体の一部が猛反発し、いくつかの自治体では条例を制定。洗髪台の設置を義務付け、QBハウスをはじめとする低価格なサービスの排除に乗り出しています。

 今回、同社が1000円という看板となっている価格設定を取りやめた背景は、人手不足によるコストの増加です。理髪店は完全に労働集約型のビジネスとなっており、人件費の増大はそのまま店舗の業績悪化につながります。労働市場がこれだけタイトになっていることを考えると、値上げは時間の問題だったと言えるでしょう。

 しかしながら、値上げが必ずしも効果的な施策なのかは何とも言えません。ビジネスをスタートした当初は、他に競合がなかったことから同社は急成長を遂げましたが、このビジネスモデルを他社が模倣することはそれほど難しいことではありません(低コストでのオペレーションに関する独特のノウハウは存在しますが、他社では不可能というほどのものではないでしょう)。

 最近では同じ価格帯を掲げる競合店が増えてきており、場合によっては他社に顧客が流れる可能性も否定できません。上場してしまった以上、利益成長が求められますから、やむを得ない判断だったのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)