10・7横浜アリーナで日本初開催となるWBSSの1回戦を戦う井上尚弥は大橋会長(右)に全試合KO優勝指令を出された(写真・山口裕朗)

WBA世界バンタム級王者の井上尚弥(25、大橋)が元WBA同級スーパー王者のフアン・カルロス・パヤノ(34、ドミニカ共和国)と激突するワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級トーナメント1回戦が10月7日、横浜アリーナで開催されることが21日、都内のホテルで発表された。
 WBSSは3団体の現役王者を含む8人の強豪が参加している、“真の最強ボクサー決定トーナメント”で日本初開催。大橋秀行会長は、優勝までの3試合、すべてにKO勝ちせよ、とプレッシャーをかけた。井上―パヤノの勝者は、IBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26、プエルトリコ)対同級3位のジェイソン・モロニー(27、豪州)との勝者と準決勝を戦うことになっていて次戦は海外開催が有力視されている。

 会見にスーツ姿で登場した井上尚弥は「日本でできると思っていなかったが、ファンの方に見てもらえるので良かった。横浜アリーナはでかい、というイメージ。注目度を感じているし誇りを持って出場する。簡単な道のりではないが、優勝できるように集中していきたい」と抱負を語った。

 対戦相手は7月にロシアで行われた公開抽選会で決まり、第1シードの選手から対戦相手を順に指名していく方式だった。その第1シードのWBA世界同級スーパー王者のライアン・バーネット(26、英国)が元5階級王者のノニト・ドネア(35、フィリピン)を指名したため、井上は、次に実績のあるパヤノを指名した。
「ドネアとの試合を望んでいたが、叶わなかったので次にキャリアと実力のあるパヤノを選んだ」

 パヤノは21戦20勝(9KO)1敗の戦績で、KO率は低いが、L字ガードと言われる右のガードを下げるスタイルからドミニカンらしい独特のテンポとスピードで勝負する好戦的なサウスポーだ。アテネ五輪、北京五輪にフライ級で出場経験があり、2010年にプロデビューすると、2014年に元WBC世界バンタム級王者、山中慎介氏が2度激闘を演じたアンセルモ・モレノ(パナマ)に6回負傷判定で勝ちWBA世界バンタム級スーパー王座を獲得した。2016年にルーシー・ウォーレン(米国)との再戦で判定負けして王座を失ったが、昨年1月に再起してから3連勝中で勢いに乗っている。

 抽選会では直接、肩を並べたが、「バンタムでやってきた選手なので骨格もしっかりしている。年の割には気迫を感じた。侮れない」と気を引き締める。
 
 パヤノは、パンチはないが、横の動きが少なく、まるでフェンシングの選手のような直線的な出入りでスピードを生かしてくるのが特徴の異質なタイプ。2試合分の映像を見たという井上尚弥は警戒心を強めた。

「直線的な出入り? そうあれが面倒くさい、スピードもあり、ラフファイトもしてくる。頭からも入ってくるしね。サウスポーは苦手じゃないが(パヤノの)キャリアがひとつの鍵になるでしょう。駆け引きです」

 バンタム初挑戦となったジェイミー・マクドネル(英国)戦では荒っぽく攻めて秒殺KOしたが、「強引に潰そうとすると雑な試合になる。スピードがあるので前半はつかまえにくい。じりじり、こつこつ当てながらいく。技術戦になる」と、自分を戒めた。

 優勝まで全部で3試合に勝利しなければならないが、大橋秀行会長は「世界的にこれまでと比べものにならないぐらい注目を集める。全部KOで勝っていく。KOがポイント。プレッシャーになるかもしれないが井上尚弥ならそれができる」と“全試合KO指令”を出した。

「毎回KOは頭に入れて試合している。いつも通り」

 井上は涼しい顔だった。