サンゴに覆われた岩々が眼下に広がる

 沖縄本島の那覇から北西に約60kmの海上に位置する粟国(あぐに)島。周囲約12kmの島に、約700人が暮らす一島一村の小さな島である。沖縄本島の周りにはリゾート開発が進む島が多い中、沖縄では珍しく起伏に富んだ海岸線と自然、沖縄古来の原風景が残る。那覇泊港からフェリーで2時間あまり、瑠璃色の海に見えてきた粟国島を訪ねた。

フォト・ジャーナル<島の大自然がおもてなし沖縄・粟国島>倉谷清文第12回

島のあちらこちらでヤギが飼われている。こんな岩場にもやって来る

 粟国島に来て3日目、島の最大の祭祀であるヤガン折目(ウユミ)の準備を撮影に行った時に仲良くなった島のおじさんに声を掛けられた。

「島の絶景ポイントに連れて行ってやるよ」

粟国島は島の場所によっていろいろな形状を見せる

 島の周囲は12kmほどだが、島を一周する道路はまだ通っていない。そのため、まだまだ島民さえ知らない海岸がある。借りた軍手を手に付け、おじさんの後をついて行った。舗装もされていない細道を抜け、ソテツが茂る丘陵を下る。

 足元は徐々に赤土から黒い岩場へと変わっていく。琉球石灰岩が浸食を受け、あちこち尖った険しい岩場は人の手が入らず自然のままだ。そおっと手を添えながら岸壁の下を覗き込んだ。

 今まで見たことのない青く澄んだ海の中に、鮮やかなサンゴをまとった岩礁が目の前に広がっていた。時折岩の間を抜ける魚影に夢中になっていると、「この先にもっと面白い場所があるよ」とさらに奥を案内してくれた。。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<島の大自然がおもてなし沖縄・粟国島>倉谷清文第12回」の一部を抜粋しました。

(2018年8月撮影・文:倉谷清文)