奥行き60mにも及ぶ

 沖縄本島の那覇から北西に約60kmの海上に位置する粟国(あぐに)島。周囲約12kmの島に、約700人が暮らす一島一村の小さな島である。沖縄本島の周りにはリゾート開発が進む島が多い中、沖縄では珍しく起伏に富んだ海岸線と自然、沖縄古来の原風景が残る。那覇泊港からフェリーで2時間あまり、瑠璃色の海に見えてきた粟国島を訪ねた。

フォト・ジャーナル<島の大自然がおもてなし沖縄・粟国島>倉谷清文第12回

鍾乳石が1cm成長するのに約70年、石筍は約130年もかかるという

 西の集落から小高い丘を抜け、さとうきび畑を眺めつつ北に向かうと海が見えてくる。道が細くなる手前にむんじゅる節の歌碑がある。むんじゅるとは麦わらのことで、歌詞に出てくるむんじゅる平笠は昔畑仕事でかぶっていた麦わらでできた平笠のこと。粟国は琉球民謡むんじゅる節の発祥の地である。

外の暑さからは考えられないほど冷気に包まれる

 その歌碑のすぐ隣にある洞寺(テラ)。門をくぐり、階段を降りていくと地底鍾乳洞が現れる。粟国島は面積のほとんどが琉球石灰岩で、地殻変動で隆起し長い年月をかけ浸食し空洞化、雨水による石灰岩のカルシウム分が結晶化し、鍾乳洞になっていったという。奥行きは60mもあり、ひんやりとした冷気に包まれる。

 琉球王朝時代に那覇の僧侶が問答に負け、流刑にされ、この鍾乳洞で読経三昧の余生を送ったとされる伝説が残っている。今でも島民の聖地として崇められ拝所となっている。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<島の大自然がおもてなし沖縄・粟国島>倉谷清文第12回」の一部を抜粋しました。

(2018年8月撮影・文:倉谷清文)