沖縄本島の那覇から北西に約60kmの海上に位置する粟国(あぐに)島。周囲約12kmの島に、約700人が暮らす一島一村の小さな島である。沖縄本島の周りにはリゾート開発が進む島が多い中、沖縄では珍しく起伏に富んだ海岸線と自然、沖縄古来の原風景が残る。那覇泊港からフェリーで2時間あまり、瑠璃色の海に見えてきた粟国島を訪ねた。

フォト・ジャーナル<島の大自然がおもてなし沖縄・粟国島>倉谷清文第12回

東京から移住してきた田中初美さん

 粟国島に移住を決めた人に話を聞いた。塩工場で働く田中初美さんは、東京出身。世界一周をした友人の話に憧れて、会社を辞め世界中を旅して回ったという。2年半後帰国し半年経った頃、今度は日本を回ってみよう沖縄に行く。その時たまたま渡った粟国島に衝撃を受けたという。

 長く海外を旅したと言っても若い時の貧乏旅行、どうしても日本食が恋しくなり自分で小麦粉を打ってうどんを作った経験があった。この島ではそれに似た、ないものは自分達で作ればいいという村民性に惹かれたという。

「お金が必要なら東京に行けばいいけど、ここには人間らしい生活みたいなものがあって本当に魅力的なんです」と微笑む。でも、何にもないから自分ができることがいっぱいあると将来の夢を熱く語ってくれた。

地域おこし協力隊の宮本真理さん(左)がプロデュースした粟国島カレー

 粟国村の地域おこし協力隊として埼玉から移住した宮本真理さんは、20歳からの自称「島マニア」だという。これまで国内を中心に70島あまりを旅し、沖縄にも30回ほど訪れ、ほとんどの離島を回ったそうだ。2013年に初めて粟国に来た際、直感的に「住むならここだな」と思ったという。現在、粟国島の広報活動を頑張りつつ、島での生活を楽しんでいる。

 ヤガン折目の後のお祭りでも、二人を見かけた。沖縄民謡が流れると、自然と踊りの輪が広がっていく。「はっちゃん」、「マリーっ」と近所の子供達に手を引かれ輪に溶け込んでいく姿が見えた。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<島の大自然がおもてなし沖縄・粟国島>倉谷清文第12回」の一部を抜粋しました。

(2018年8月撮影・文:倉谷清文)