静岡県富士宮市の村山浅間神社で護摩焚きの神事が山伏によって厳かに行われた。その10日前、山梨県富士吉田市の上吉田地区では、北口本宮冨士浅間神社に向けて市中を練り歩く人たちの姿があった。吉田口登山道は例年、富士宮口よりも早く7月1日に開山する。6月30日には開山前夜祭が催され、富士山を信仰する信者らが行列を行うのだが、その集団の中に法螺貝を吹き鳴らす山伏たちがいた。山伏はどこからきたのだろうか?

高尾山から富士山頂まで徒歩練行

吉田口登山道の開山前日に富士吉田市上吉田地区を練り歩く山伏たち=山梨県富士吉田市

 東京都西部、八王子市にある高尾山は、レジャーや観光、登山に多くの人が訪れる人気スポットだ。京王線の高尾山口駅から徒歩で数分のところにある高尾登山電鉄の清滝駅よりケーブルカーに乗車し、急こう配を行くと約6分で高尾山の中腹にある高尾山駅に到着する。高尾山駅から整備された道を歩くと、ほどなく天狗の像が見えてきた。高尾山は天狗が跳梁する山でもあるようだ。

 高尾山薬王院。真言宗智山派の大本山である同寺は、744(天平16)年、聖武天皇の勅令により東国鎮守の祈願寺として、高僧行基菩薩により開山された(薬王院ホームページより)とされる。また、本尊の飯縄大権現(いづなだいごんげん)は、戦国武将たちから守護神として崇敬され、兜の前立にもなっている。修験道の山であり、天狗伝説や天狗信仰の山でもある。その高尾山薬王院で修験道担当部長を務める中原秀英師に話を聞いた。

 「高尾山修験道は、昔から修行の一環として富士登拝を行っていました。私は昭和52年に高尾山に入山したのですが、その頃は富士登拝修行がありましたね。ただ、当時の修行は今行っているものとは違うものでした。今行っている修行は今年で12回目になります。高尾山奥之院の裏に浅間神社があります。天文年間、北条氏康の命によって高尾山に浅間神社が建立されたのです。浅間神社建立から450年の節目に、昔ながらの富士の登拝を復活しようということになりまして、高尾山を起点として富士の山頂まで徒歩練行を行っているわけです」