久保建英が移籍した横浜F・マリノスで鮮烈デビュー(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 ちょっとしたデジャブを覚えずにはいられなかった。今年3月7日。当時16歳だった久保建英が、FC東京のトップチームの公式戦で初先発を果たした舞台がニッパツ三ツ沢球技場だった。YBCルヴァンカップの予選リーグ初戦。相手は横浜F・マリノスだった。

 フル出場しながら0‐1で苦杯をなめ、試合後に「自分のプレーがチームの勝利に直結していない」と唇をかんでから5ヵ月半。くしくも同じピッチで、ユニフォームを前回の対戦相手だったトリコロールカラーに変えて、17歳になった久保は新天地マリノスでの初陣に臨んだ。

 出場機会を求めて、FC東京から期限付き移籍することが電撃的に発表されてから6日。ホームでベガルタ仙台と対峙した22日の天皇杯全日本サッカー選手権4回戦で、1トップのウーゴ・ヴィエイラの背後に左右対で並ぶダブルシャドーの一角として、久保は先発フル出場を果たした。

 背番号は「15」のまま変わらない。ゴールの奪い合いの末に2‐3で「負けた」という結果も、後半途中に直接フリーキックを蹴りながら壁に当てて「外した」という点も然り。異なる点をあげれば、1‐1の同点に追いつく味方のゴールをアシストした前半40分の絶妙のパスとなる。

 久保が放った右コーナーキックが相手にはね返されたこぼれ球を、シャドーを組んだ仲川輝人がペナルティーエリアの外側で拾い、ポジションを下げてきた久保に再び預ける。

「仲川選手から優しいボールが来て、それほど速いボールでもなかったので割と考える時間もあって。あまりよく見えなかったですけど、前の方に2人くらいフリーの(味方の)選手がいたので、そこに合ったらいいなと思ってボールを出しました。合ってよかったです」

 マーク役のMF永戸勝也がそれほど距離を詰めて来なかったこともあり、余裕をもって利き足の左足を振り抜く。柔らかいパスは美しい放物線を描きながら、再び相手ゴールへ向かって走り始めたDF畠中槙之輔の前方に寸分の狂いもなく落ちてくる。

「タケ(久保)からいいボールが来たので、本当に合わせるだけでした」

 コンパクトに振り抜かれた畠中の右足が確実にボールをヒット。久保よりも2日早い今月14日に東京ヴェルディから完全移籍で加入し、ともにベガルタ戦で公式戦デビューを果たした22歳が決めた完璧なボレー弾に、久保は笑顔を弾けさせながら抱き着いた。