2時間6分54秒の持ちタイムの井上大仁がアジア大会マラソンに挑むが、東京五輪代表選考方法は問題含みだ(写真・アフロ)

 ジャカルタ・アジア大会の陸上男子マラソンは現地時間25日の午前6時にスタートとなる(女子マラソンは翌日)。日本男子代表は2月の東京マラソンで5位(日本人2位)に入り、日本歴代4位となる2時間6分54秒をマークした井上大仁(MHPS)と、2月の別府大分毎日マラソンで2位に入った園田隼(黒崎播磨)の2人。東京五輪と同じような気象条件で行われるアジア大会は絶好のシミュレーションレースとなり、現在、盛り上がりを見せている男子マラソン界に朗報を届けてくれることへの期待が高まっている。

 日本の男子マラソン界は2年前のリオ五輪では佐々木悟(旭化成)の16位が最高と低迷していた。それが、この1年ちょっとで輝きを取り戻しつつある。振り返ると、大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)のマラソン参戦が契機になったように思う。

 大迫は昨年4月のボストンで表彰台(3位)に立つと、12月の福岡国際で現役最速タイム(当時)の2時間7分19秒(当時・日本歴代5位)をマークした。そして大迫の活躍に刺激を受けた同学年の設楽悠太(Honda)が、今年2月の東京マラソンで爆走する。16年ぶりに日本記録を塗り替える2時間6分11秒で突っ走った。同大会では1学年下の井上大仁(MHPS)も2時間6分台で走破すると、木滑良(MHPS)、宮脇千博(トヨタ自動車)、山本憲二(マツダ)、佐藤悠基(日清食品グループ)は2時間8分台でフィニッシュ。条件に恵まれたとはいえ、日本人選手9名がサブ10を達成する“大豊作”となった。

 さらに昨夏のロンドン世界選手権で「入賞」にあと一歩と迫った川内優輝(埼玉県庁)が、今年のボストンで優勝。メダリストたちを撃破して、世界を驚かせた。公務員ランナーは、来春からのプロ転向を表明。マラソンに本格参戦中の神野大地も4月末でコニカミノルタを退社して、プロランナーとして動き出した。

 これだけ日本の男子マラソン界が活況を呈しているのは、「2020年東京五輪はマラソンで勝負したい!」と本気で考えている選手が多いからだ。さらに日本陸連がMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を設立するなど、東京五輪代表への道筋を明確にしたのも大きい。まずは来年9月15日に開催されるMGCの出場権をつかもうと、有力選手が続々とマラソンに参戦している。

 マラソンで「結果」が出ているのは日本陸連の狙い通りで、素晴らしいと思う。しかし、その反動がトラック種目に表れている。実は、今回のアジア大会への男子長距離勢の派遣は見送られたのだ。