サンフレッチェ広島のボランチ稲垣祥がポスト長谷部に名乗り!(資料写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 ヒーローインタビューで弾けさせた笑顔を、大粒の汗がとめどもなく伝う。キックオフされた午後7時の気温が30.3度。まるで蒸し風呂のような敵地ヤンマースタジアム長居のピッチを、サンフレッチェ広島のボランチ稲垣祥(26)は、心地よさそうに躍動した。

 セレッソ大阪を1‐0で振り切り、3試合ぶりの白星を手にした25日の明治安田生命J1リーグ第24節。前半19分に値千金の決勝弾を決めたのは稲垣。しかし、ゴール以上に異彩を放ったのは、湿度も61%を数えた過酷な条件下でも、まったく衰えない驚異的な運動量だった。

 Jリーグが発表しているトラッキングデータによれば、稲垣の走行距離は11.410kmと両チームの先発フル出場組のなかでただ一人、11kmを超えた。サイドバックやFWが多くなる傾向が強いスプリント回数(時速24km以上)も、4位タイとなる15回をマークした。

 175センチ、72キロの体に搭載された無尽蔵のスタミナが、稲垣の最大の武器である「ボール奪取」を生み出している。たとえるなら猟犬というよりもスッポン。一度狙いを定めたら絶対に離れず、何度でも体勢を立て直しながら執念で食らいつくスタイルに、稲垣自身も絶対的な自信を見せる。

「相手ボールを刈り取る力は僕の長所だし、J1のなかでもトップクラスだと自負しています」

 セレッソ戦で対峙した、ワールドカップ・ロシア大会代表のボランチ山口蛍を凌駕していると言っても過言ではない。海外組を含めても、稀有な能力をもっているだけに、必然的に森保ジャパンの初陣となる、チリ及びコスタリカ両代表との国際親善試合へ向けた日本代表入りも期待される。

 チリ戦は来月7日に札幌ドームで、コスタリカ戦は同11日にパナソニックスタジアム吹田で行われる。注目を集める新生日本代表メンバーは今月30日に発表される予定だが、年代別の代表を含めて、これまでのサッカー人生で日の丸に無縁だった稲垣は、目の前の試合に集中したいと力を込める。

「僕自身、そこは全然向いていないというか、このチームでもっともっと積み上げないといけないと日々思いながら練習しています。正直、いまはこのチームが勝っていくことしか考えていません」