東京都が老朽マンションの建て替えを促進する制度の創設を検討しています。老朽マンションは今後、社会問題になる可能性が高いといわれていますが、東京都の施策は効果を発揮するのでしょうか。

写真:アフロ

 老朽化したマンションは住民が徐々に少なくなり、管理に支障を来すケースが出てきます。また1981年以前の旧耐震基準で建設された物件の中には、耐震性が十分ではないものも少なくありません。一等地に建つ物件であれば資産価値が維持されるのでオーナーの経済力も高く建て替えは容易ですが、そうではないケースでは、建て替え費用を捻出できない場合が増えてきます。

 こうした状況を改善するため東京都が検討を進めているのが、老朽マンションの買い取りによって容積率を緩和するという制度です。

 この制度では、老朽化したマンションを買い取った不動産会社は、別の場所でマンションを新たに開発する際、容積率が緩和され、より有利に建設を進めることができます。買い取った老朽マンションを解体し、その場所で新しくマンションを建設する場合にも、さらに別の場所で老朽マンションを買い取ることによって容積率をアップできます。

 つまり不動産会社が次々と老朽マンションを買い取っていけば、その分だけ容積率を緩和した開発が可能となり、連続して老朽マンションの買い取りが進むという構図です。

 東京の場合、中心部であれば、新規のマンション建設に対する需要があるため、容積率の緩和というメリットが付随することで、老朽マンションの買い取りが進む可能性は十分にあるでしょう。その意味では、この政策にはそれなりの効果が期待できそうです。

 しかしながら、新規のマンション建設のニーズがないエリアの場合、この制度によって老朽マンションの買い取りが進む可能性は低くなります。このようなエリアでのマンション解体を進めるためには、さらにメリットを提示する必要がありますが、公平性の観点から、こうした制度には限度があります。

 いろいろと課題はありますが、社会問題となりつつある老朽マンションの解体が進むことはメリットが大きいでしょう。一部からは過度な容積率の緩和は景観や住環境を損ねるとの指摘もありますが、今の日本の現実を考えると、ある程度は止むを得ないことかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)