『泣き虫しょったんの奇跡』(C) 2018『泣き虫しょったんの奇跡』製作委員会 (C) 瀬川晶司/講談社

 1998年公開の映画『御法度』でスクリーンデビューを飾ると、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、数々の映画賞を総なめにした俳優・松田龍平。あれから20年、いまや日本映画界になくてはならない俳優として、数々の作品で強い個性を発揮している松田の魅力を、最新作『泣き虫しょったんの奇跡』でメガホンをとった豊田利晃監督のインタビューを元に検証してみたい。

 豊田監督と松田は、2002年に公開した『青い春』で初めて顔を合わせたが、その後も、『ナイン・ソウルズ』(03年)、『I'M FLASH!』(12年)で作品を共にし、今回で実に4回目のタッグとなる。

 「龍平とは彼が17歳のときに『青い春』で一緒にやって以来、作品を重ねてきましたが、まだ30代の龍平を撮っていなかった。なにかやりたいと思っていて、これまでもいくつか企画はあったのですが、ちょうど彼に演じてもらいたいという作品に出会えたんです」

 豊田監督は松田を「僕の分身みたいなところがある。黒澤明監督でいう三船敏郎さんのような関係性」と定義づけた。常に豊田監督にとっては、意識する存在であり、作品がない間も、年に一度程度は会っていたという。豊田監督にとって、なぜ松田はそこまで惹きつけられるのだろうか。

豊田監督、「松田龍平は一本の映画に真剣に向き合ってくれる俳優」

豊田利晃監督(撮影:磯部正和)

 「龍平に限ったことではないのですが、やっぱり物づくりへのこだわりは大事ですよね。僕はそのあたりはすごいので、しっかり乗っかってくれる人がいい。その意味で、僕の現場は監督と役者は上下ではない。一緒の方向に走っていく同士。ただ指示を受けて演じるのではなく、お互い良いものを作ろうと横に並んでくれる人がいい。こうしたことを龍平とは共有できるんです」

 俳優が役に入り込むのは当たり前といえば当たり前だが、人気俳優には作品が集中する傾向にあり、なかなか一つの作品にじっくり向き合えることが物理的に難しい状況にある。しかし「松田龍平は一本の映画に真剣に向き合ってくれる」俳優だというのだ。

 またキャラクターの理解度という部分でも、松田は特筆できるという。ジャンルや、演じるキャラクターによりアプローチ方法はさまざまだと思うが、松田が考えてきた役柄と、豊田監督の演出プランとは、ほとんど相違がないという。豊田監督と「相性がいい」といえばそれまでだが、そこには松田の脚本を読み込む能力が高いのだろう。

 さらに、“勝負強さ”という部分でも松田は他の俳優とは一線を画するようだ。

「やり過ぎるということは絶対ないのですが、やるときにはやる。しかも僕は本番一発という撮影方法が多い中で、ほぼホームランを打ってくれるんです」と集中力を絶賛する。