日銀の資産規模がGDP(国内総生産)を突破したという話が話題となっています。資産規模がGDPを超えるというのはどういうことなのでしょうか。これには何か問題があるのでしょうか。

写真:ロイター/アフロ

 8月10日時点の日銀の総資産は548兆9408億円となり、2017年度のGDPである548兆6648億円を上回りました。日銀の資産がGDPを上回るのは戦後ではなかったことです。9月4日に発表された8月31日における総資産はさらに膨れ上がり、550兆9364億円とGDPを2兆2716億円上回っています。

 日銀は2013年4月の金融政策決定会合において、市場に大量のマネーを供給する量的緩和策の発動を決定。最近ではペースがかなり落ちているものの、年間80兆円のペースで国債を買い続けてきました。日銀は自由に紙幣を刷ることができますが、何もない状態でただお金を印刷することは禁じられています。このため紙幣を発行した場合には、その対価となる資産を保有しなければなりません。現在、日銀が保有している資産のほとんどは市場から購入した国債ということになります。

 経済学的に見ると、GDPというのは毎年、日本が稼ぐお金ですからフローということになり、日銀が保有している資産はフローの結果として形成されたストックの一部ですから、直接、比較するものではありません。しかし、日銀が保有している資産は政府の借金であり、国債の保有者は政府にお金を貸していることになります。政府が借金を返せなければ、政府にお金を貸し付けている日銀には損失が発生しますから、国債の保有残高が増えることはリスク要因のひとつと考えてよいわけです。

 この話は、政府が破綻する・しないという極端なレベルのものですが、市場関係者が現実的に懸念しているのはこうした極論レベルのことではなく、金利が上昇し、国債価格が下落することです。

 現在、国債の価格は日銀の大量購入によってバブル的な水準となっており、これ以上、国債価格を引き上げるのは困難です。もし金利が上昇し、国債の価格が下落すると日銀には多額の損失が発生します。日銀は約450兆円の国債を保有していますから、国債価格がわずかに下落しただけで日銀の自己資本は吹き飛んでしまいます。そのままでは日銀の信頼性がなくなりますから、資本の増強が必要となり、それを負担するのは当然ですがわたしたち国民となります。

 今のところ大きな問題は起こっていませんが、すべては国債の金利が異常に低い水準で推移していることが要因です。この状態を永久に続けるのは難しいと考えるべきでしょう。

(The Capital Tribune Japan)