『響 -HIBIKI-』(c)2018映画「響 -HIBIKI-」製作委員会、(c)柳本光晴/小学館 ビッグコミックスペリオール

 『黒崎くんの言いなりになんてならない』(2016)、『君の膵臓をたべたい』(2017)、『となりの怪物くん』(2018)、『センセイ君主』(2018)――。キラキラと輝く恋の光をまとった高校生らを活写してきた月川翔監督の新作は、自分の生き方を曲げない15歳の天才小説家を描く『響 -HIBIKI-』(2018年9月14日公開)。ヒロインの名は、響。彼女の圧倒的な文才と、自分の信念を絶対に曲げない行動は、周りの人間に大きな影響を与え、彼らの価値観をも変えてしまう。そんな響を、欅坂46の不動のセンター、平手友梨奈が演じることも話題だ。柳本光晴の原作『響 ~小説家になる方法~』は、2017年のマンガ大賞を受賞している。

 月川翔監督は、突き抜けたヒロインと観客への接点をどこに作ろうと考えたか、そしてそれを初主演の重責を担う平手友梨奈とどう実行していったか、うかがっていく。

クールな色合いで“響”という人間の生き方を淡々と描く

――月川翔監督がこれまで撮られてきた映画とはずいぶん異なる印象ですが、ご自身はどう感じていらっしゃいますか? 当然ですが、恋愛の楽しさや切なさを描いたこれまでの監督作品で見慣れた甘いトーンは一切なく、ソリッドでシャープな画。この映画は、それを積み重ねることで描かれています。

月川:青春ものや恋愛ものの場合は、ファンタジックな、柔らかく、温かいトーンになるよう演出しますが、今回はなるべく冷静かつ客観的に撮りました。権力や建前に屈しない響の行動は、痛快だと思う人もいるかもしれませんが、作り手側からは単純に“ヒーロー”として押し出したくなかった。むしろ響という人間の生き方を淡々と描きたかったので、クールな色合いで、コントラストがはっきり出るようにしました。暴力的なシーンでは、印象的に赤を使いたかったので、それ以外の場面はなるべくグリーンベースの色調にしました。

月川翔監督(撮影:小杉聡子)

――本当に、感情と色が呼応するように画面を設計されていますよね。恋愛ものでなくても、高校生の話なので、やはりその世代の観客に、自分の物語として受けとめてもらいたいですよね? そのあたりはどう思っていらっしゃいましたか?

月川:響と同世代の平手さんも、原作を読んだとき、「響がかっこいい」と言っていました。だから同世代のお客さんにも、同じように伝わるようにと臨みました。ただし、響は通常、社会では許されないこともする。手放しに「響は正しい」とならないよう、バランスはすごく考えました。あんなふうには生きられませんが、僕も響の生き方をかっこいいと思っていますけどね。

――そこは本当に難しいところだと思います。バランスを取った部分を具体的に聞かせていただけますか?

月川:響がいいと思うものをちゃんと認める場面……例えば、好きな作家に会ったとき、握手を求めるし、すごく嬉しそうな顔をするなどという面をちゃんと描く。響がなぜこのような行動を取ったのか。ただ破天荒な人間だから、とならないよう、お客さんが納得できる文脈を作ろうと意識しました。脚本はもちろんですが、今回は音楽も、ミニマルミュージックというか、音型を反復させる感じで作り、暴れる響をヒーローかのように煽らないよう、かなり抑制しました。