自民党総裁選(20日投開票)が7日告示されました。安倍首相は国会議員票の多数を固め、総裁選を有利に進めていると報道され、政権続投の可能性も高くなっています。一時は「森友・加計学園」で存続も危ういといわれましたが、安倍内閣はなぜこんなに強いのでしょうか。建築家で文化論に関する多数の著書で知られる名古屋工業大学名誉教授・若山滋さんは、安倍首相を支える官房長官と二階自民党幹事長に注目し、執筆します。

一強の文化論

自民党総裁選安倍晋三選挙対策本部発足式=都内ホテル、2018年9月3日撮影(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 異常な暑さと気象の猛威に見舞われた夏も終わり、永田町はもう安倍首相の三選を前提として動き出しているようだ。

 モリカケ問題のピーク時には「もはや三選はない」という空気だったというからさま変わりである。

 この内閣の強さの秘密は何だろうか。

 僕は政治問題の専門家ではないが、永田町ジャーナリズムを仕事にしている友人によれば、この内閣の成立には菅官房長官の力が大きく、成立後も多くの情報と判断が官房長官に集中している、という。そこで今回はあえて「安倍・菅政権」として、その強さの秘密を文化論的に考えてみたい。

首相と官房長官セットの強さ

 これまでの自民党政権では、首相がリーダーシップをにぎり、幹事長が党をまとめ、派閥の領袖が重要閣僚にすわるというパターンであった。官房長官は首相秘書的な脇役であったが、この政権では首相と長官がセットで機能していることを感じる。

 官房長官が権勢をふるった例はむしろ民主党政権にある。仙谷官房長官が菅直人首相を超えるほど存在感をもったが、セットとしてはうまく作動せず短命であった。その後の枝野官房長官も同様だ。

 自民党政権では中曽根首相と後藤田官房長官が名コンビであったとされる。安定多数を確保して長期政権となり、対米関係も経済運営も比較的うまくいって、国鉄民営化など行政改革でも成果をあげた。

 しかし中曽根首相が派閥の領袖としてスター性とリーダーシップをもっていたこと、両者とも日本の代表的エリートであったことなどが、セットでこそ力を発揮する感のある現政権とは異なった点である。