台風21号による高潮により、関西国際空港に大きな冠水の被害が出ました。東京でも同様の高潮が起きた場合が心配です。都の高潮対策はどうなっているのでしょうか。

高潮の影響を受けやすい地形

海岸保全施設の配置図(東京都港湾局ホームページから引用)

 2017年度に東京都の東京港建設事務所高潮対策センターが発行した都民向けパンフレット「高潮・津波からまもる」によると、東京港は南西向きに開口部を持ち、閉鎖性が高く、浅い水深の湾奥にあります。

 加えて明治末期から昭和の高度成長期にかけて、区部東部では、地下水のくみ上げや水溶性天然ガスの採掘によって地盤が沈下し、地盤の低い土地が広がっています。

 高潮により東京23区の約4割の面積が冠水する可能性があるとされ、この冠水予想地域には現在、約300万人が暮らしています。また、いわゆるゼロメートル地帯には、約150万人が生活しています。

どんな整備がされている?

海岸保全施設の仕組み(東京都港湾局ホームページから引用)

 このように、高潮の影響を受けやすい地形となっているため、都は、過去最悪の被害をもたらした1959年9月の伊勢湾台風を想定して、海岸保全施設を整備してきました。

 高潮被害を防ぐ主な施設としては、臨海部の外側を囲む「外郭防潮堤」や、外郭防潮堤より海側の土地に設置した「堤外地(ていがいち)防潮堤」、運河への高潮の侵入を防ぐ「水門」、防潮堤が陸の道路を横断するところに設置した陸上の“ゲート”である「陸閘(りくこう)」などがあります。

 同センターによると、2017年3月末で、外郭防潮堤は38.2キロメートル、堤外地防潮堤は15.6キロメートルを整備済みで、未整備の箇所はなく、すでに完成した状態と言います。

海岸保全施設の仕組み(東京都港湾局ホームページから引用)

 防潮堤の高さは、干潮時の海面よりも4.6〜8.0メートル高くなるようにし、風などの影響で潮位が高くなりやすい地点ほど、防潮堤を高くなるよう設計。高潮で潮位が上がった時は、運河の水門や陸閘を閉じて、防潮堤と一体となって内陸部への浸水を防ぎます。

 同センターは「水門を閉じたあと、雨などで運河内の水位が上昇した時は、排水ポンプを使って増えた水を運河の外側に排出する仕組みも備えています。これらの施設によって想定範囲内の台風による高潮の浸水は防げますが、台風などで潮位が上がった時は、安全のため水辺に近づかないようにしてほしい」としています。

(取材・文:具志堅浩二)