ハイパーインフレで経済が大混乱となっているベネズエラで、通貨の単位を切り下げるデノミネーション(デノミ)が行われました。デノミとはどのような政策なのでしょうか。また効果はあったのでしょうか。

インフレ率は年内にも100万%に

 ベネズエラ政府は放漫財政の穴を埋めるために自国通貨を乱発。その結果、通貨価値が毀損し、物価上昇が止まらなくなるハイパーインフレーションに陥っています。同国のインフレ率は年内にも100万%という天文学的な数字に達すると予想されています。

 コーヒーを1杯飲んでいる間にも値段が上がるという状況です。しかしこの話はあくまでたとえ話であって、現実はもっと残酷です。物価の変動があまりにも激しいため、モノの仕入れなどがままならず、各店舗からは商品がほとんど姿を消した状態となっています。市民生活は完全にマヒしているとみてよいでしょう。

デノミとはどのような政策?

ゴミ箱に捨てられた100ボリバル紙幣(写真:ロイター/アフロ)

 こうした事態に対応するためベネズエラ政府は、通貨の単位を5桁切り下げる(つまり10万分の1にする)デノミネーションを実施しました。例えば、今まで100,000ボリバルだった紙幣は、1ボリバルソベラノという新しい通貨になりました。これまで日用品を買うにも大量の紙幣が必要でしたが、通貨の単位を切り下げれば、少ない紙幣で済みますから、店頭などでの混乱は少なくなります。

 しかしながらデノミというのは、あくまで通貨の見かけ上の単位を切り下げるだけですから、対外的な通貨の価値が変わったわけではありません。またインフレが発生している原因は通貨の乱発ですから、この部分で抜本的な対策を打たない限り、何の効果もないことは明らかです。実際、デノミ実施後もボリバルソベラノは下落を続けています。

デノミは抜本的な解決にならず

 店舗などでの混乱という意味でもあまり解決策にはなっていないようです。政府は新紙幣を急ピッチで印刷していますが、これが経済全体に出回るまでには時間がかかります。いくらデノミを行っても、新しい紙幣が手に入らなければ意味がありません。

 ベネズエラの銀行には、これまで預金の引き出し制限が課されており、国民は1日あたり一定金額以上、預金を引き出せませんでした。デノミ後も引き出し制限は継続されており、国民は十分なお金を持つことができない状況が続いているようです。

 デノミというのはあくまで見かけ上のケタを引き下げるだけであり、抜本的な解決になるものではありません。こうした、見かけ上の施策に頼っているうちは、通貨の安定を実現することは難しいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)