元モーニング娘。でタレントの吉澤ひとみ容疑者が6日、都内で自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の疑いで警視庁中野署に逮捕されたニュースは、芸能界に大きなショックを与えた。とくに「飲酒」「ひき逃げ」という態様は交通事故の中でも重く、ネット上には「なぜ逃げたのか」「ファンが悲しむことをわかっていないの?」など、厳しい意見が噴出している。

酒気帯び運転に同情の余地なし プロとしての意識の欠如

 吉澤容疑者は6日午前7時ごろ、都内・中野区の路上を酒気帯び状態で運転、赤信号を無視し、自転車に乗っていた20代女性をはね、自転車が転倒したことで近くを歩いていた40代男性にもケガを負わせたが、そのまま立ち去ったという。吉澤容疑者は15分ほど後に、自ら110番通報し自転車をひいたと伝え、現場に戻ったとのこと。この日、午前9時半からモー娘。OGの保田圭とイベントに登壇予定で、現場入りの時間が切迫していたようだ。

 筆者は、仕事を通して吉澤容疑者に対し良い思い出しかない。スポーティーなキャラクターでもある吉澤容疑者は、自転車関連の大使などの仕事もしてきたが、2011年12月に名古屋で開催された大規模なサイクルフェスタにゲスト参加。その際、筆者も、仕事で深い関係にあった名古屋のアイドルグループOS☆Uが同イベントに登壇することからスタッフとして現地に招かれたのだった。

 OS☆Uもいまでは有名なご当地グループに成長したが、当時はまだご当地グループ自体がマイナーな存在で、言い方は悪くなるが限りなく素人に近い感覚。そんな中、メンバーの中に吉澤容疑者の熱烈なファンの子がいた。現場へ向かうバンの中、吉澤容疑者のグッズを見せて、「これにサインが欲しくて」と、無邪気にはしゃいでいたのだ。

 いまなら共演者同士がバックステージで写真を撮り合いSNSにアップ、互いのPRに使うことは普通だが、当時はインスタグラムも普及していない時代。仮にも同じ演者側に立つ者が共演者にサインをねだるという行為には抵抗があったが、「もし可能なようであれば」と意向を伝えると、吉澤容疑者側は「別にそのぐらいなら」と、二つ返事で快く承諾してくれたのだった。笑顔で現れた吉澤容疑者はその子と握手してくれ、サインどころかグループとの記念写真まですすんで撮ってくれた。その写真を見ると吉澤容疑者を中心に、現在東京にいて有名雑誌の表紙やグラビアで活躍中の子も何人かいる。サインをもらった子はすでに引退したが、彼女にとってはかけがえのない青春の一コマとなった。写真は公開しない約束をしたので掲載できないが、ただでさえ過密なタイムテーブルの中、こちら側の素人丸出しのようなお願いに、粋なはからいをしてくれた吉澤容疑者には頭が下がるばかりだ。自分の熱烈なファンでありご当地アイドルになったという一人の女の子の願いを、壊したくなかったのかもしれない。

 今年、ハロー!プロジェクトは20周年を迎え盛り上がっている。先日も、吉澤容疑者と同期の加護亜依がハロプロ公演に復帰したことが大きな話題になった。今回の事件は、そんな機運にも水を差してしまった。何よりも反省しなければいけないし、その深い反省に基づいて被害者に心からの謝罪と誠意ある対応をしなければいけない。ひき逃げをされた被害者の衝撃は、いかばかりか。軽傷で済んだのは不幸中の幸い。同情の余地はない。

 今後の芸能活動について心配するのは早計に過ぎるが、飲酒運転の状態で仕事の現場に入ろうとしていた点も、プロの演者として猛省が求められる。

 吉澤容疑者には二度とファンを悲しませないことを望みたいし、それができる人であると信じたい。

(文・写真:志和浩司)