トランプ政権がいよいよ対日赤字の是正に動き出すとの観測が高まっています。日本経済は米国向けの自動車輸出で成り立っているといっても過言ではなく、状況によっては極めて難しい選択を迫られそうです。

写真:ロイター/アフロ

 日本は米国に対して年間約15兆円の輸出を行っていますが、米国からは8兆円しか輸入していません。米国が抱える対日貿易赤字は約7兆円ということになります。米国への輸出のうち自動車関連は6兆円にも達していますから、まさに日本は米国向けの自動車輸出で経済を成り立たせているといっても過言ではありません。

 これまでトランプ政権は主に中国をターゲットに貿易交渉を行ってきましたが、今度はその矛先を日本に向けようとしているとの報道が出ています。トランプ氏は11月に行われる中間選挙で勝利することが当面の目標ですから、それまでに外交実績を上げるためには、そろそろ日本に対しても行動を起こす必要があるわけです。

 中国に対するトランプ政権のスタンスを考えた場合、日本が抱える対米貿易黒字の削減を要求してくる可能性が高く、各種報道でもトランプ氏が赤字額の削減を強く求めているとされています。8月9日には、日米貿易協議が開催されていますが、この時点では意見交換にとどまっており、本格的な交渉は行われませんでした。次回の協議は、9月下旬に開催される日米首脳会談に合わせて実施される予定となっていますから、9月下旬がひとつのヤマ場となりそうです。

 トランプ氏は自動車関税の引き上げを要求してくる可能性が高いですが、おそらく関税の引き上げが本意ではないでしょう。トヨタなど日本の自動車メーカーは米国市場に定着しており、日本車の販売が不振になると、自動車販売会社など米国内の産業にも影響が出てきます。日本にとっても自動車への関税措置だけは何としても回避したいところでしょう。

 そうなってくると貿易赤字を減らすためには、日本が輸入を拡大するしか方法はなくなります。日米貿易交渉においては毎度のことですが、米国側は牛肉などの輸入拡大を求めてくる可能性が高いでしょう。米国はTPP(環太平洋パートナーシップ)協定のような多国間協議ではなく、2国間協議を強く求めていますから、TPPの時と同じ交渉を米国と再度繰り返す必要が出てくるわけです。当然、農家などを中心に反対の声が出てきますから、国内の利害関係をどう調整するのかが焦点となりそうです。

(The Capital Tribune Japan)