[写真]国立公文書館で展示されている「終戦の詔書」の複製

 森友学園への国有地売却に絡む決裁文書の改ざんなど、公文書の管理のあり方に注目が集まっている。公文書は各省庁で保管された後、歴史的な資料として残すべきと判断されれば「国立公文書館」に移される。この施設では、こうした古今のさまざまな歴史的文書が保管されているという。一体どのような場所なのだろうか。

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1971年の設立以前は各省庁で保管

[写真]北の丸公園の一角にある国立公文書館

 東京メトロ東西線竹橋駅から徒歩5分。皇居の北側に隣接する北の丸公園の一角に、国立公文書館がある。来場者は展示物や説明文が書記されたボードを熱心に見つめていた。静かな館内で年配者が多い印象を受ける。

 1階フロアの常設展示コーナーには、日本国憲法と大日本帝国憲法の複製が展示されていた。「御璽(ぎょじ=天皇の印章)を見比べてください」と国立公文書館の広報担当者が勧めるので見てみると、大日本帝国憲法の方は太くくっきりとしているのに対し、日本国憲法の方は細く、色も薄く感じた。戦後の物資不足により、朱肉の品質が良くなかったためだという。押印にも、その時代の状況が現れているのだと驚かされた。

[写真](上)大日本帝国憲法と(下)日本国憲法の御璽(いずれも複製)

 国立公文書館は、1971(昭和46)年に設立された。日本では明治時代以降、各省が作成した公文書は、その行政機関で保存してきたが、戦後になって、公文書の散逸防止と一般公開を求める機運が高まったことで、公文書の保存・公開と調査研究などを行う目的につくられた。その際、江戸幕府で収蔵した古書や、明治以降の内閣が収集してきた和漢書や洋書を保管する「内閣文庫」の蔵書も移管された。

 設立当時、国立公文書館は総理府(現内閣府)の付属機関だったが、2001(平成13)年4月に独立行政法人に改組され、今に至る。

保存期間や残すかの判断で助言

 同館は2018年4月時点で約146万冊の公文書や古書・古文書、絵図や資料などを保管している。これらをすべて書架に配置したと仮定すると、なんと64キロの長さの棚が必要になるほどの量だという。

 このうちもっとも多いのは、明治時代以降、憲法や勅令、政令をはじめ国の意思決定に関わった歴史的に価値のある公文書(=歴史公文書)だ。実に約98万冊ある。国の行政機関が作成した公文書のうち、歴史公文書として残すべきだと判断された場合は、保存期間が終った後に国立公文書館へ移される。その数は年平均で3万冊ほど。行政機関が作成した公文書について、保存期間の長さや歴史公文書かどうかの判断が適切か助言するのも、国立公文書館の仕事だ。

 例えば、2011年に内閣官房内閣情報調査室が作成した「東日本大震災 被災状況推定地図」は、5年後の2016年度に国立公文書館へ移管された。