初陣森保Jの背番号「10」の中島翔哉は要所で仕掛けて存在感を示した(写真・西村尚己/アフロスポーツ)

 わずか7分あまりの質疑応答の間に、MF中島翔哉(ポルティモネンセSC/ポルトガル)は同じニュアンスの単語を実に8回も口にした。

「試合がすごく楽しかった。チームメイトも助けてくれて本当に楽しかった」
「10番というのはサッカーでは特別な背番号ですし、それも含めてすごく楽しかった」
「勝てたことがすごく嬉しいし、やっていて楽しかった。すごく幸せな気分でサッカーができた」

 実は「楽しむ」という単語は、中島のプレーを評価するうえでのバロメーターとなる。

取材エリアで連発したときは、決まって試合でまばゆい輝きを放つ。コスタリカ代表に3‐0で快勝し、新生日本代表の初陣を飾った11日のキリンチャレンジカップ2018。パナソニックスタジアム吹田のピッチで、中島は群を抜く存在感を放ち続けた。

 代表通算3試合目にして初めて先発メンバーに名前を連ねた。ポジションは[4‐4‐2]の左サイドハーフ。やや慎重に試合へ入った選手が多かったなかで、4年後のワールドカップ・カタール大会へ向けて船出した森保ジャパンの「初代10番」を担った24歳は違った。

 ボールをもったらまず仕掛ける。左から中へ得意のドリブルで切れ込んだかと思えば、相手が中を警戒するやそのまま縦へ突破する。スピードもテクニックもまさに異次元。時間の経過とともに、中島へパスが通るだけで3万3891人を飲み込んだスタンドのボルテージが上がりだす。

 次にどんなプレーを魅せてくれるのか。いい意味で予想を裏切るから、歓声が一気に湧きあがる。その象徴的なシーンが1点リードで迎えた後半21分に訪れる。攻め上がってきたボランチ遠藤航(シントトロイデンVV/ベルギー)からボールを預けられた中島は一瞬のタメを作り、相手の動きを止めたうえで、自分を追い越していった遠藤へ絶妙のスルーパスを通す。

ペナルティーエリア内へ侵入した遠藤がマイナスへ折り返したパスにMF南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)が左足を合わせる。2年前のリオデジャネイロ五輪をともに戦った3人のコンビネーションで奪った2点目に、中島は思わず笑顔を弾けさせた。

「お互いがどのようなプレーをするのかはわかっていたので。自分たちは年齢的にはそれほど若くはないけれども、オリンピックでずっと一緒にやってきたので、自然とあのプレーが出たのはよかった」

 自身にとってのキーワードである「楽しむ」をさかのぼっていくと、初めてサッカーに出会った6歳のときから抱いてきた、純粋無垢な気持ちにたどり着く。