[イラスト]小惑星表面にタッチダウンする「はやぶさ2」の想像図。機体下部から筒状のサンプラーホーンが見える(c)池下章裕

 小惑星探査機「はやぶさ2」は、約3年半の航行の末、2018年6月27日に目的地である小惑星リュウグウにたどり着きました。到着以来、はやぶさ2は科学観測を続け、リュウグウに関する情報を集めています。そして、9月後半から10月にかけて最初のヤマ場となる小型ローバーの放出と、1回目の着地(タッチダウン)が予定されています。9月11日と12日には、このタッチダウンの1回目のリハーサルが行われています。はやぶさ2は、8年前に地球に帰還し、小惑星「イトカワ」から地表の物質を持ち帰って一大ブームとなった「はやぶさ」の後継機です。太陽系や生命の起源に迫るきっかけになることが期待される今回のミッション。これからはやぶさ2がリュウグウでどのような探査を行っていくのかをまとめました。(科学ライター・荒舩良孝)

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20キロの距離保ちリュウグウを観測

 2014年12月3日に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」は、長い航行を大きなトラブルを起こすことなく終え、到着後は、リュウグウから20キロ離れた場所をホームポジションにして、科学観測を続けています。惑星探査機の場合は、探査対象の惑星の周回軌道に入り、グルグルと回りながら探査をしますが、はやぶさ2はリュウグウに対して20キロの距離を保ちながら静止するような形になります。

 はやぶさ2は常に太陽を背にしていないと、活動に必要な電力をつくることができません。そのため、リュウグウの周りを回るのではなく、1点にとどまる位置をキープしているのです。はやぶさ2自身は動かなくても、リュウグウは自転することで、リュウグウ全体の観測をすることができます。ただし、リュウグウは太陽の周りを公転しているので、太陽を中心に見ると、はやぶさ2はリュウグウと同じ速度で太陽の周りを回っていることになります。

 はやぶさ2がホームポジションを維持しようとしても、何もしなければ、はやぶさ2は、リュウグウの重力に引き寄せられて、どんどん近づいていきます。そうならないように、はやぶさ2は化学エンジンを使って、位置を微調整しています。化学エンジンや観測機器の使用、データの地球への送信は、すべて、神奈川県相模原市に設置された管制室からの指示に従って行われます。

 地球からリュウグウ上空のはやぶさ2までは電波が届くまで約15分かかります。地球から送った指令がはやぶさ2に届くのは15分後で、それに対するはやぶさ2からの返信が地球に送られてくるのは、さらに15分必要です。つまり、はやぶさ2に指令を送るときは、はやぶさ2から結果を得るまでに30分ほどの時間差が発生することを考慮する必要があるのです。はやぶさ2が地球から遠ざかると、この時間差は長くなるので、通信時間が往復で40分ほどになることもあります。