9月6日に発生し、北海道で初めて最大震度7を観測した北海道胆振東部地震。この地震の大きな特徴は、液状化現象や大規模な土砂崩れなど数多くの地盤災害を引き起こしたことだろう。地盤工学の専門家が集まる地盤工学会(東京都文京区)は災害後、産学のメンバーからなる調査団を発足し、現地調査を実施。12日、都内でその報告会が開かれ、北海道大の石川達也教授と北見工業大学の川尻峻三助教が、それぞれ札幌市清田区の液状化被害と厚真町の土砂崩れの状況を報告した。

札幌市清田区の液状化は谷を埋めた造成地で

 石川教授は札幌市清田区の液状化について、陥没した道路や大きく傾いた家の写真などを使って被害の状況を紹介し、「河川や水田だった谷を盛り土して造成した住宅地で発生した」と説明した。また、液状化が発生したエリアの中でも、「斜面の上のほうでは地表から離れた場所で、下のほうでは地表に近い場所で液状化が発生したと推測できる」と述べた。

 また、同区は2003年の十勝沖地震の時にも液状化が発生しており、今回現地調査を行った3か所のうち2か所では、15年前と同じような場所で被害が発生していたという。ただ、被害範囲は前回より広がっているエリアと狭まっているエリアがあり、「被害が小さくなったところは液状化対策を実施して効果があったのかもしれない」と話した。

 札幌市では清田区のほかにも、北区や東区では地下鉄沿線上の道路で液状化被害が発生していたという。これについては、「地下鉄工事の後に埋め戻した土が液状化したと考えられる」との見解を述べた。

崩れた土砂は川の堤防を越えた

 続いて壇上に立った川尻助教は、多くの人が犠牲となった厚真町の大規模な土砂崩れについて報告した。調査したのは、同町役場より北に位置する吉野地区と富里地区で、いずれも厚真川沿いに位置している。

 吉野地区は斜面の表層部分だけが崩れる表層崩壊が比較的多かったという。崩れ落ちた土の塊は堆積した年代が異なるいくつかの火山灰で構成されていた。崩壊した面には、こすれてできた擦過痕のようなものがあったことから「(崩れた)土の塊は比較的速く移動した可能性がある」という。

 これに対し、富里地区については、「尾根だけを残し谷側斜面のほとんどが崩壊している。谷の深いところからもすべりが発生している」と説明。崩れた土塊は近くを流れる厚真川の右岸堤防を越えて川の一部に達し、住宅だけではなく浄水場も襲ったため、断水にもつながっている。

 報告した石川教授や川尻助教は「こうした調査をさらに進めて、危険箇所のリスク評価や防災減災対策につなげたい」と話している。

(取材・文 飯田和樹)