お客様求む「当方ブスぞろい」というインパクトの強い看板=大阪市都島区で

 大阪に珍奇な名前のスナックがある。その名も、ブスの店「スナック杏」(大阪市都島区)で、わざわざ不名誉な文言を看板にうたっている。“ブスの店”と堂々と大書きし、さらに壁にも「急募 お客様求む 年令不問 性別不問 容姿不問 低料金優遇す 当方ブスぞろい」とある。大阪らしいシャレの利いたネーミングだが、飛び込みで入るのは抵抗があるものの、どんな店なのか気になる人は多いようだ。ちょっと店内をのぞいてみた。

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20数年前に「ナイトスクープ」登場

[写真]お客同士が親しくなれる雰囲気が漂う店内=大阪市都島区で

 店内は地元のスナックらしく小ぢんまりとまとまっている。その分、お客同士が親しくなれる雰囲気が漂う。カウンターの中にはママと女性従業員が1人。来店の趣旨を伝えると、「ああ、取材の方ね」と、原田杏子ママが笑顔で迎えてくれた。すでに複数の客がいたが、気にせずに話を伺った。

 「みなさん、ブスの店って言うたら、ああ、知ってるでってなるんやけど、『スナック杏』って言うても知らない人が多いんです」と杏子ママ。オープンして45年も経つだけに、界隈では“ブスの店”としてすっかり認知されている。

 このスナックが初めてテレビに取り上げられたのは20数年も前。大阪で人気の視聴者参加バラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)だった。「当時、作家の中島らもさんが番組に出てはって、『気になる店があるんです』って、それで探偵の越前屋俵太さんが取材に来てくれたんです」(杏子ママ)

 中島らも(故人)は調査して欲しいことをリクエストする珍しい“顧問”だったようだ。お店はその後も、テレビや雑誌などに幾度となく紹介されてウケているが、グルメ店などと違って、マスコミに出たからといって急に客足が伸びるわけではなかった。「うちの場合は、しばらく経ってから、気になってしょうがないから、初めて来ましたって人が多いんです」とか。

美人の店から「ブスの店」に変えると評判に

[写真]杏子ママは19歳でこのスナックを開業した

 杏子ママは19歳でこのスナックを開業した。当時の屋号は「美人の店 虎」。美人スナックとして商売を始めたのだが、「どこに美人がおんねん、ってお客さんに突っ込まれるんです。それで1年ちょいで逆転の発想で“ブスの店”に変えました。そしたら評判になったんです」

 どこに美人がおんねん、というツッコミが今度は「ぜんぜんブッサイクちゃうやん」という笑いに。「だってあたし、ブスなんて思ってないし」と、杏子ママ。年齢不詳だけど、19歳で開業して45年が経つので、年齢は推して知るべし。

 2年ほど前には、『カミングアウトバラエティ!! 秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ)にも取り上げられた。「一般視聴者が大阪におもろい店があるって、応募されたみたいです。はい、取材に来られましたよ。最近も、立て続けにテレビや新聞の取材依頼があってね。もうどこがどこかわからヘン。で、今回は何の取材でしたかね?」と、ママが笑って話す。

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