SNSで「ご存知ありませんか」

[写真]「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」の静岡県限定表紙カバー。ドーナツの穴のかたちが静岡県の輪郭になっている

 各章の間にはさみこんだ息抜きコラムは、学生たちが執筆を担当。世界各地のドーナツに似た食べものに関して、外国語学部の教員たちに取材して原稿にまとめ上げた。

 この手の企画は気軽に読める半面、編集段階でドーナツと似た食べものを探し当て、詳しい事情を知っている人物を特定するのが、容易ではない。しかし、外国語学部3年、保道晴奈さんの好判断で、すばやく活路が開けたという。

 「外国語学部の学生はよく海外へ出掛けています。海外で出合ったドーナツに似た食べものをご存じないですかと、知人友人たちにSNSで聞いたところ、先輩からも含めて有益な情報が多数寄せられ、助かりました」(保道さん)

 SNSが本作りをサポートする時代を迎えたようだ。保道さんは最近、ウエブライターの活動を始めた。

まちの本屋さんにも積極アタック

 本のデザインや販売促進の一部も学生たちが手掛けた。表紙のギザギザ模様の白いカバーは、ドーナツを包んで食べる紙ナプキンに見立てたものだ。静岡県の書店向けには限定カバーを特注。ドーナツの穴のかたちが静岡県の輪郭になっている。

 出版社と書店の合同商談会にも、学生たちが参加。百戦錬磨の編集者たちに交じって、『ドーナツ本』の魅力を懸命にアピールした。まちの小さな書店が注文してくれ、隠れたベストセラー化の原動力となった。

 若い世代の本離れが指摘される中、学生メンバーは本作りを通じて、どんな手応えを感じたのだろうか。
山口裕生さん(法学部3年)は「一冊の本は内容、デザインから書店でのPOP作成まで、トータルでできている。本が苦手な同世代も、本の入り口はたくさんあるので、自分なりの楽しさを見つけられると思う」と話す。

 「情報はウエブ上でも読めますが、本を手にし、ページをめくるときの質感は、とても魅力的。デジタル化が進んでも紙の本は残ってほしい」とエールを送るのは、大成(おおなる)晴華さん(文学部2年)だ。
山下英里華さん(理学部4年)は「書店では売れる本が並んでいますが、練りに練られた良書がたくさんあるはず。真剣に作って著者も真剣に売り込めば、良書がもっと読まれる好循環が生まれる」と期待を寄せる。

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