[写真]切符回収箱を製作した京都府立工業高等学校の生徒も出席して、引き渡し式が行われた

 京都県北部を走る「丹鉄」こと京都丹後鉄道。ほとんどの普通列車がワンマン運転というローカル鉄道で、地元高校生の作った切符回収箱が設置されることになり、先日その引き渡し式が福知山駅で行われました。丹鉄が高校に依頼して作ったものですが、利用者のことを考え様々な工夫を凝らしています。これをはじめ、沿線の足となって地域を支える鉄道を、こうした形で応援しようという動きがみられます。

形状やデザインの検討から試作まで高校生が担当

[写真]今回制作された切符回収箱。投入口の雨よけにはゴムをかぶせるなど、細かい配慮も

 同式典には、製作を担当した地元・京都府立工業高等学校機械プランニング科の高校生6人と、丹鉄の小高専務、福知山駅を管轄する土出管理駅長が出席。同校の作業服の色に合わせたというスカイブルーに塗られた回収箱が手渡され、丹鉄からは感謝状と記念品が贈られました。今後、福知山駅を除く宮福線の全駅で、現在設置されているものと順次置き換えられるとのことです。

 実は、現在設置されている回収箱も、以前に同校が製作したものでした。古くなった回収箱を新しくするにあたって、丹鉄が同校に再び依頼。学生たちは、形状やデザインの検討から試作、そして本製品の完成まで、半年以上をかけて取り組みました。

お世話になっている鉄道に貢献できて良かった

[写真]与謝野駅の花壇には、地元の保育園の園児が毎年チューリップの球根を植えている

 前作からの「改良」も行われており、例えば切符を取り出す際に曲がりやすかったフタ部分には補強部材を追加したり、切符を入れる人が手を切らないよう投入口に樹脂カバーを着けるなど、工夫されています。

 「自分たちも丹鉄で通学しているので、学んだ技術を身近なところで発揮でき、お世話になっている鉄道に貢献できて良かった。毎日見られるし『自分が作ったんだ』と親にも自慢したいです」と、グループのリーダーである廣瀬大誠くんは話してくれました。

沿線の足となって地域を支える鉄道とそれを支える地域住民

 北近畿タンゴ鉄道から今年4月に運営を引き継いだ京都丹後鉄道は、地元の人たちに使いやすく親しみやすい鉄道となるよう、様々な取り組みを行っています。そして、そんな同鉄道を応援する動きも各駅で見られます。

 与謝野駅の花壇には、北近畿タンゴ鉄道時代から地元保育園の園児がチューリップの球根を植えているほか、今年9月には福知山市立大江中学校の生徒会が大江高校駅前にプランターを寄贈、定期的に手入れをしています。

 沿線の足となって地域を支える鉄道と、その鉄道を支える地域の人たち。「次は、車内に設置するゴミ箱とかも作ってみたいです」と、切符回収箱メンバーの”丹鉄愛”もますます大きくなったようです。
(文/伊原薫/鉄道ライター)

 ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。

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