自転車で南極大陸を走り、南極点を目指す冒険に挑戦していた神戸市須磨区の会社員、大島義史さん(31)が今月10日に南極点へ到達。19日に無事帰国した。出発前のインタビューで「僕は冒険家じゃない、サラリーマンです」と話し、有給休暇を使って会社員としてどこまでやれるかと試したかったという大島さん。パソコンとソーラー電池を持参して一部業務をこなしたり、自転車走行中は吹き飛ばされないよう、凍傷の気配を探りながら南極大陸を走り、時には自転車を押して時速1~2キロになりながらも、夢だった南極点への到達を果たした。

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まるで宝石の中を走っているような気分

[写真]南極点到達時の大島さん(本人提供)。右下の写真は出発前の様子

帰国した大島さんによると、先月24日に関西空港からチリ経由でチリのプンタ・アレーナスへ向かい民間輸送機に乗り換え。南極西部にある「ユニオン・グレーシャー基地」という民間ベースキャンプへ到着。そこで、自転車を組み立てるなどし、約200キロの走行練習をした。

 そして今月4日に南緯88度59分まで飛行機で移動しいよいよ本格的にスタート。夢の南極点に向けての走行中は「南極大陸は、天候に恵まれ、晴れた日には、雪面が光を反射して虹色に輝き、まるで宝石の中を走っているような気分でした」と振り返る。

空気の薄さから時速1~2キロという状況も

[写真]南極でソリをひいて走る大島さん(本人提供)

 だが、ひとたび風が吹けば、吹き飛ばされないよう一瞬の気も抜けなくなり「凍傷の気配を探りながらの走行になりました」と振り返る。

 また「雪面状況や空気の薄さから、自転車を押すことも多く、時速1~2キロという状況もありました」と続けた。しかし、ガイドの相棒、エリックさんとケンカを繰り返しながらも、二人三脚で少しずつ前に進み、予定していた日より2日早い、南極点に到達することができだという。

[写真]南極の輝く雪面を走る大島さん(本人提供)

 そのため、少し夢の南極点でのサイクリングを楽しみ、合わせて420キロを走った。「今となっては『まだまだ走れた!』という思いもありますが、有給休暇の残日数のこともありますので、ここから先は、これから南極自転車旅行を楽しむであろう他の自転車乗りの方々に譲りたいと思います」と大島さんは話す。

 大島さんは、輸送機器メーカー「川崎重工業」(本社・神戸市)で経理を担当。これまでも不動産部門や工場の管理部門、国際税務など様々な分野を担当してきた。東京大学在学中から自転車の旅に魅せられ、今回は個人で挑戦。家族や会社とじっくり相談し、出発前のインタビューでも「家族や会社が理解してくれてこそできる」と答えるなど、周囲への感謝の思いを胸に南極への旅に挑戦に向け努力を重ねていた。

 帰国後は妻と2歳の長女と再会。現在は無事な帰国を家族で喜び、わかちあっている。