[写真]閲覧席に設置された「自習はご遠慮ください」と記されたプレート=大阪市西区の市立中央図書館

 公立図書館の自習利用を巡る論議が高まる中、大阪市立図書館が自習利用容認へ大きく踏み出した。15日開かれた大阪市会教員こども常任委員会で、維新会派議員が地域図書館の自習利用に関する市の見解を求めたところ、市側が「各区の区長と地域図書館長が協議し、地域の声や地域図書館の実情などに配慮しながら、自習利用の可能性を探っていきたい」と答弁し、事実上の自習利用容認へかじを切った。今後、市内各区に点在する市立地域図書館の館長と各区長が協議を重ね、環境整備が完了したところから自習利用が可能な図書館へ生まれ変わる。

区長と地域図書館長が協議し方針を決定

[写真]150席の読書席を備えた市立中央図書館閲覧室。利用者が多いが、入口に「自習のための席ではありません」と掲示されている(開館時間前に撮影)

 藤岡寛和議員が質問に立ち、地域図書館の自習利用問題に対する市の見解を質した。まず水谷翔太天王寺区長が「図書館利用に関する区民の声は、自習利用を認めてほしいという意見ばかりだった。

 そこで、貴重な行政資源である図書館が区民ニーズに即して有効に利用されるべきと判断し、図書の閲覧という図書館本来の業務の妨げにならない範囲内で、自習利用を認めるよう、地域図書館を所管する中央図書館に求めた」と答弁し、自習利用の是非を問い直す課題提供に踏み切った理由を説明した。

 続いて天王寺区役所が天王寺図書館を対象に独自に実施した閲覧席利用状況調査の結果を、区役所担当者が報告。ソファ席などを除く自習利用可能な閲覧席は16席。19回の調査で、閲覧席の利用は最高が9席で、平均は6席に満たなかった。午後から夕方までにかけて、閲覧席があまり利用されていないことが判明した。

 市立図書館側は「自習利用の容認や自習席の設置などに関しては、図書館の利用実態や区の状況、区民のさまざまな声など勘案して慎重に対処する必要がある」とする一方、「分権型教育行政の観点に基づき、区長と地域図書館長が協議を行い、それぞれの図書館の実情に応じた適切な運営を進められるよう努めていきたい」と、答弁。「自習利用が可能となった際には、内容やルールについて、区と地域図書館の広報ツールを活用して区民の皆さんに丁寧にお知らせしていくことになる」と発言し、事実上の自習利用容認へ踏み込んだ見解を示した。

 これを受け、水谷区長は「すみやかに天王寺図書館長と協議を行い、図書館本来の目的を阻害することなく、自習の場を求める人たちのニーズに応えられるよう、自習環境の整備に取り組んでいきたい」と、改めて意欲を強調した。