[写真]長年親しまれた阿倍野区の旧本社はいつもと変わらない様子だったが、たまに写真を撮る人の姿がみられた=6月30日午後、大阪市阿倍野区で

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 わかってても、なんか寂しい──。経営再建中のシャープは1日、本社を大阪市阿倍野区から大阪府堺市堺区へ移転した。6月30日、本社最後の営業日となった阿倍野区の旧本社前はいつもと変わらない様子だったが、時折、建物看板の写真を撮る人の姿も多くみられ、看板を撮っていた地元の男性は「子供の時から、シャープここにあって当たり前だった。わかってても寂しい」などと話していた。

[写真]看板を撮影する人の姿がみられた=6月30日午後、大阪市阿倍野区で

 同30日夕方、阿倍野区長池町の旧本社前を訪ねると、カメラを手に社名などが書かれた看板をカメラで撮影する人の姿が何人かみられた。ツイッターなどのSNSでも、本社最後の日の様子を伝えるものもいくつか見られた。

 会社帰りに同社の看板や旧本社を撮影していた大阪市東住吉区の40代の男性は「区は違いますが、歩いて数分の場所で育っている。大阪府外出身の大学の友人には『家はシャープ本社のそばやねん』と自慢げに話していた。何年か前に(近くを走るJR)阪和線が高架化して、シャープ前の『開かずの踏切』がなくなってうれしかったけど、まさかこうした形でシャープ本社が移転するとは思わなかった。移転はわかっていても、やっぱり寂しい」などと話していた。

 また、旧本社にほど近い地下鉄御堂筋線の西田辺駅近くの飲食店に勤める男性は「長年この光景が当たり前やったけど、現実を受け止めて、私らはいつも通りがんばるだけ」と寂しそうな表情を浮かべながら話していた。

[写真]近くの歩道橋からもシャープの旧本社ビルを撮影する人の姿がみられた=6月30日午後、大阪市阿倍野区で

 同社は1924年に、関東大震災の影響などを受け阿倍野区長池町に本社を移転。以来、長年にわたり同所で親しまれてきた。同社買収をめぐり、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による出資が当初は6月中を目標としていたが、同月中の実現はできなかった。