公開は11月25日までの毎月第2、第4金曜日

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 大阪市が北区中之島の本庁舎で整備を続ける屋上緑化施設を一般公開し、訪れた市民らが都会のオアシスでのひとときを楽しんでいる。開放的な庭園ゾーンと鳥や虫たちが共生する自然ゾーンがあり、緑が持つふたつの表情を体験することができる。公開は11月25日までの毎月第2、第4金曜日。

【拡大写真と地図】南ブロックの庭園ゾーン、樹木と高層ビル群が屋上庭園独特の情景を醸し出す

南は正統派の庭園様式で北は懐かしい里山感覚

[写真]南ブロックの庭園ゾーンで散策を楽しむ女性グループ。梅田で食事を楽しんだ後立ち寄ったという=大阪市北区の大阪市役所本庁舎屋上

 エレベーターで屋上に出ると、眼下の喧騒もやや遠のく。空から鳥の目でみると、屋上は東西に長い長方形で、緑化施設は南北ふたつのブロックに分けて整備されている。

 南ブロックは明るく開放感があり、四季の移ろいを感じることができる庭園ゾーン。カラミザクラやプンゲンストウヒなど、成長しても樹高があまり高くならない樹木を選んで植栽。青空を背景にして、周囲の高層ビル群が適度に視界に入り、屋上庭園らしい独特の情景を醸し出す。

 北ブロックは実のなる木や野草などを中心に、鳥や昆虫が好む植物を配した自然ゾーン。人が適度に手を入れることで、人と多様な生き物たちが共生できる里山の感覚だ。屋上緑化施設の整備は2003年度。都市住民に潤いや安らぎを与え、ヒートアイランド現象の緩和にも役立つ屋上緑化にも、多様な手法があることを啓発するため、異なるふたつのゾーンに整備して公開している。

小さなセミの抜け殻にも自然界の大きなドラマあり

[写真]北ブロックの自然ゾーン。昆虫や鳥たちが共生する里山的な環境を維持する努力が続く

 取材に立ち会ってくれた市建設局公園緑化部協働課担当係長の石井亘さんが事前に施設内を調べたところ、自然ゾーンの一隅にあるスダジイの枝で複数のクマゼミの抜け殻を見つけた。施設内にはクマゼミの成虫もいた。

 「クマゼミは羽化するまで7、8年を土の中で暮らします。この緑化施設は本来の自然ではありませんが、施設ができて10数年経過する中で、飛来したクマゼミたちが卵を産んでもいいところと認めてくれたことになる。ただし、自然ゾーンの中でもスタジイの木のあるエリア以外では抜け殻は確認できませんでした。クマゼミたちがいろんなエリアで卵を産む試行錯誤を経て、産卵にふさわしい場所がようやく定まったともいえるでしょうか」(石井担当係長)

 屋上で今年羽化したクマゼミたちは、パイオニアたちの子孫だ。小さなセミの抜け殻ひとつにも、自然界の大きなドラマが秘められている。