福を招く十日戎に合わせ、大阪市浪速区の大阪木津卸売市場から今宮戎神社へ雌雄一体のタイを奉納する恒例の献鯛式がこのほど行われた。奉納行列がもちやリンゴを振る舞いながらにぎやかに練り歩くと、福を授かろうと大勢の参拝客らが取り囲んだ。

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雌雄一体のタイを献上して商売繁盛を祈願

[写真]献鯛式のために西日本各地から入荷した5尾の特大のタイ。雌雄一体のタイが選ばれ、献上品として今宮戎神社へ向かった(右下)=大阪市浪速区の大阪木津卸売市場

 献鯛式は今年で35回目。江戸期、ざこば魚市場が今宮戎神社に同神社ゆかりのタイを奉納し、豊漁や商売繁盛を祈願していた。今はざこば市場の流れをくむ大阪木津卸売市場が伝統を継承。300年来の古式に基づき、商都の新春らしい華やいだ雰囲気を醸し出す。

 島根、長崎、鹿児島の各地から特上の天然タイが5尾入荷。最大は島根産のメスのタイで、重さ10キロ、体長86センチ。あまりの大きさに、子どもたちも「見たことない」とぴっくり。

 市場関係者によると、今年はタイらしい丸みを帯びた大物がそろったという。今宮戎神社の福娘ふたりが慎重に審査し、重さ10キロの島根産メスのタイと、長崎産オスのタイ(8・3キロ)を献上鯛に選んだ。

 タイの他にも、ハマグリ、米、リンゴ、大阪の伝統野菜なども献上。地車様式の華やかな朱色の飾り鯛や巨大びくには、商売繁盛の起請文が多数添えられるなど、貴重な伝統文化が息づく。

 ちんどんチームを先頭に、タイなどの献上品を運ぶ市場関係者らが隊列を組んで、神社へ向けて出発した。

「タイじゃタイじゃ」「えーびすさんのタイじゃ」

[写真]福を振る舞いながら町を練り歩く奉納行列

 「タイじゃタイじゃ」「えーびすさんのタイじゃ」「商売繁盛、えびすさん」── にぎやかな掛け声とともに、行列が練り歩く。35年間、一度も雨に見舞われることのない幸運が続いているという。献鯛式に先立ってつかれた餅やリンゴが沿道で振る舞われると、多くの参拝客らが福を授かりに集まってきた。

 超満員の今宮戎神社に到着。献上品を運び入れてすべての神事が終了した。大阪木津卸売市場市場協会の西村多市会長は「伝統ある行事を無事成し遂げることができた」と安どの表情を浮かべる。

 同市場は市民向けに朝市を定期開催しており、「今年は普段から気楽に買い物を楽しんでもらえるよう、さらに工夫したい。市場の仕入れ力が強みで、鮮度のいい食材を手ごろな価格で提供することに自信を持っている」と意気込んだ。

 詳しくは大阪木津卸売市場の公式サイトで。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)

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