[写真]講演する荒瀬克己・大谷大学教授

 「深い学びに向けて、視座をずらすため他者と対話を」助言するのは、国語教育学者で大谷大学教授の荒瀬克己さん。大阪市内で開かれた公開講演会(大谷大学など主催)で学習指導要綱の大幅改定に伴い、これから「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められる中、どんな視点が必要となってくるのか見解を述べた。自身で考えるため言葉や他者との対話を重視し、自ら問題を見つけて解決を目指す姿勢は、教育現場のみならず、市民が日々の仕事や暮らしにも生かせそうだ。

堀川高時代「堀川の奇跡」で注目集める

 講演のテーマは「ちいさなわたしを生きる ── 複雑化する社会の中で」。荒瀬さんは1953年京都府生まれ。京都市立伏見工業高校や堀川高校の国語科教諭、京都市教育委員会指導主事をなどを経て2003年から堀川高校校長に就任した。

 同校勤務時代に探究科新設などの学校改革を実施、国公立大学合格者を大幅に増やすなどの成果をもたらし教育界で「堀川の奇跡」と評価されるなど注目を集めた。学校主導の受験教育に特化したわけではない。生徒を「大きな子ども」ではなく「小さなおとな」として尊重し、生徒の自主性を引き出す教育方針を徹底した。

自身で問題に気づき答えを探し出す

 小・中・高の教育現場では今、まもなく段階的に始まる新学習指導要領による教育活動を前に、緊張感が漂っているという。大きな社会変動のうねりの中、どのような社会になるか予見しにくい。混とんとした状況下で問題に気づき、答えを見つけて新しい価値を創造していかなければならない。

 「主体的・対話的で深い学び」の実現が、次代を生きる子どもたちに必要な資質や能力を育てるとの考えから、学習指導要領が大幅に改定される。

 荒瀬さんは「我々は視座を作るために学んできた。本を読みいろいろな場所へ出かけて、見る目を養ってきた。一方で、体験を積みながら養ってきたものの見方が、本当に正しいのだろうか。そう考えてみると、あやしいものがあるかもしれないし、思い込んでいるだけかもしれない。思い込みから自由になるためには、どうしたらいいか。視座をしっかり認識し、さらに認識する作業を通じて視座をずらしてみる。しかし、視座をずらすのは容易ではない。そこで、他の人と話をする、やりとりをする。そうすることで、自分にはこう見えていたものが、他の人には別のように見えていたことが分かる」と述べた。

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