府やJAグループ大阪などが共同で取り組む

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 近鉄電車が通過していく大阪府富田林市の田園地帯。都市農業の担い手を育成する新しいプロジェクトが始まった。新規就農「はじめの一歩」村。農業未経験の人たちを地元生産者らがサポートしながら、プロ農家に育てようという実践的スクールだ。府やJAグループ大阪などが共同で取り組む。このほど行われた開村式をのぞいてみた。

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土と向き合い人間の原点に帰る

[写真]開村式の後、打ち合わせをする研修生たち

 研修生は14人で、研修期間は来年3月までの6か月間。研修生を代表して須村哲也さんが「研修生は熱い思いで参加している。半年間の研修を終えて、大阪農業が盛り上がった、新規就農研修を始めてよかったと評価していただけるよう、研修生一同がんばります」と抱負を述べた。関係者全員で、今春なにわの伝統野菜に認証されたナンバネギの植え付けを行い、開村を祝った。

 村では、メイン農場で指導スタッフが研修生に農業の基本技術を教える。受講生は農業をゼロから学べる。同時に併設のチャレンジ区画で、各研修生が専用の農地を確保し、独自の野菜作りを進めていく。サポートしてくれる地元生産者との交流を通じて、農家の暮らしぶりなどを学べるのも、大きな魅力だ。

 研修生の清水裕之さんは、大阪市在住の会社経営者。50代を迎え、第2の人生のライフワークに農業を選んだ。「土と向き合うことで人間として原点に帰る。家族にも美味しくて安全な野菜を食べさせたい」と話す。

都市で生きる新しい考え方を生み出す力も

[写真]「はじめの一歩」村の農場

 コマツナやダイコン、カブなど、好みの野菜づくりに取り組む。当面は事業と農業を両立させるが、将来的には農地を手に入れ、農業に力を注ぐ方針だ。

 「農業で大きくもうけるつもりはないが、継続するための利益は確保しなければ。農業を趣味に終わらせないというか、趣味を仕事にしてもいいのではないか。一生懸命というより、楽しみたいですね」と、自然体で抱負を聞かせてくれた。

 業容拡大をうかがうビジネス一本やりではない。とはいえ、自由気ままな趣味に留めたくはない。自身や家族の生き方や、地域社会との縁を大切にしたい。これからの都市農業は農産物だけではなく、都市で生きる新しい考え方を生み出す力も秘めているようだ。詳しくは大阪府の公式サイトで。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)