[写真]日本の豚まん発祥店「老祥記」の豚まん、1日に1万千個作られている

 「豚まん発祥の地」を広めようと、神戸の南京町広場や大丸神戸店前などでこのほど、7日間にわたり「KOBE豚饅サミット」が開催された。サミット限定のオリジナル豚まんの販売やパンのお店とコラボした豚パンも登場するなどにぎわいをみせ、同サミットの仕掛け人でもある豚まん発祥店「老祥記」(神戸市中央区)の三代目、曹英生代表(60)は「おいしい豚まんを食べてもらい、もっと広めていきたい」と話している。

味覚提案型の新型野菜宅配 野菜にも「テロワール」

手間ひまかけ豚まんを作り黄綬褒章を受章した仕掛け人

[写真]発起人の曹英生代表(中央)。女性は毎年コンテストで選ばれる「KOBE豚饅娘」のOB

 11の並びを豚の鼻になぞらえ「11月11日は豚饅の日」と定め、2011年から始まった「KOBE豚饅サミット」。発起人で南京町にある「老祥記」代表の曹英生さんは「大阪がいろんな仕掛けをして元気なので神戸もより元気にしたいということで、豚まんというささやかなグルメなんですけど、豚まんを通じて神戸を活性化したいということで始まりました」と説明する。

 英生さんによると、今から約100年前、英生さんの祖父、松※(しょうき)さんが、神戸の南京町に包子(パオズ)の専門店を開いたのが始まりだ。

 包子とは、小麦粉の生地で具を包んで蒸す中国料理のことだが、このとき包子を日本人好みの味にして「豚饅頭(ぶたまんじゅう)」と命名して販売したという。英生さんは長年にわたりこの味を守り続け、昨年春にはその功績が認められ「黄綬褒章」を受章した。

 「一般的な中華まんは、生地にイースト菌を使ってふんわりとさせることが多いです。当店では初代が中国から持ってきた100年前の麹を、今なお培養して使用しています。麹を使っているのは日本でもあまり聞いたことがない。中国でも、今は麹を使っているところは減っているみたいです。なぜかと言うと、手間ひまがかかるからです」(曹さん)

手間ひまかけた生地は独特の甘い風味が特徴

 もっとも、手間ひまかけたもちもちの生地は独特の甘い風味が特徴となり、中からジューシーな肉汁と具があふれ出す。行列ができるほどファンは多く、この日もずらりと並んでいた。

 「豚まんの発祥地が神戸というのは、関東などではまだ浸透していないと思うので、この行事を通じて全国に広めていきたいです」と曹さん。同店では1日1万3000個を作るそうで「あくまで平均でもっと多い時もある。職人の腕にもよりますが、うちの従業員は1分間に最低8個を作る。熟練の方でしたら12個くらい作ります」と明かした。

 また、今回のサミットでは、15店舗が参加。パンのお店ともコラボして、豚まんならぬ豚パンも登場した。「随分と定着してきました。これで利益を生むということはないんですけどね。神戸は大変な地震も経験しました。豚まんを通じて各被災地との連携もできましたし、収益の一部は熊本地震の支援事業に活用させて頂きます」と話し、豚まんの魅力については「老若男女、誰もが楽しめる庶民の味ということでしょう」と、曹さんはうれしそうに話していた。
(文責/フリーライター・北代靖典)

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