[写真]12月16、17両日に自らが主宰する劇団パロディフライの本公演「コペルニクスさん家はおとなりです。」で舞台稽古に励む妹尾和夫(中央)=15日夜、大阪市北区で(撮影:柳曽文隆)

 ABC朝日放送「必殺仕事人」など必殺シリーズのプロデューサーを務めていた仲川利久氏と偶然出会い、週に何度かカバン持ちを担当することになった妹尾和夫。それがきっかけで、テレビドラマの世界を目の当たりにすることとなる。そして、リハーサルの代役などをこなすことも大きな経験につながっていった。

俳優生活40年・妹尾和夫「大阪で眠ってた役者魂が復活」

カバン持ちをしながら様々な経験を積んだ

 カバン持ちは毎日ではなかった。そのころ、先述のDJ講座などで話術を磨いた甲斐があってか、在阪のラジオ局での仕事も担当していたからだ。この時、妹尾は一歩ずつ自分のやりたいことをやった。パン店を営む両親も「好きなことをやりなさい」と応援してくれたのは百人力だった。

 「仲川さんがOSK日本歌劇団へ行く時は『彼女たちは男の人を相手に芝居する機会がないので、レッスンにきてくれるか』と言われ、実際にレッスンに参加しました。そういったことも貴重な経験」と妹尾は今から40年近く前の出来事をしみじみと思い出す。

 そして、レッスンが終わると大阪の北新地へごはんを食べに連れて行ってもらったこともあった。「そういう場で、仲川さんの話を聞くのが僕の青春でしたね。芝居のこと、悪口とか(笑)すごく勉強になって。たまたま出会えたのが本当にうれしかった」と青春時代を振り返った。

小さなアドリブが人との出会いを呼んだ

[写真]本番前日とあって、稽古にも力が入る=15日夜、大阪市北区で(撮影:柳曽文隆)

 そうしているうちに、ドラマ出演の話が来た。ABC朝日放送のドラマ「部長刑事」でチンピラD役を演じることになった。「エキストラでもなにかを残してやろう」。出演時間はおそらく15秒程度。妹尾は台本を読みその場の雰囲気を浮かべながら「なにかを残す」ということを考えた。

 考えたあげく、思いついたのは「つまようじを噛む」というアドリブだった。「なにか因縁をつけるような役どころでしたが、つまようじを50本もってって何度も噛む練習したんですよ。ただ単に出るだけではおもしろくないし。15秒でも何かができる。そう思って出ました」

 妹尾は15秒間、思いっきり「つまようじ」噛んで努力した。すると、その努力に気づいた人がいた。後に同ドラマプロデューサーとなる、当時ディレクターの辰野悦央氏だ。

 「辰野さんは、私のつまようじを噛むシーンを見て『この子は考えてきている』と思って頂いたそうです。そしたら、4週間後に『殺し屋』の役でも出してもらって。後に、ゲスト主役として出演させてもらうようになったんです」。見ている人はきっと見てくれている。小さなつまようじの工夫で、妹尾の人生は明らかに変わった。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします