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 2017年、大阪の中心部を南北に縦断する道路「御堂筋」が完成から80周年を迎えた。1937年完成という歴史ある道沿いに、さらに古い1933年に建ったという歴史あるビルが存在する。大阪市中央区の「大阪ガス」本社ビル、通称「ガスビル」だ。聞けば、建った時から基本的に変わっていないところがたくさんあるという。このビルの管理担当者に話を聞いてみた。

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地下では「ガス」を使って作った料理の実演販売も

[写真]1933年に完成した大阪ガス本社ビル、通称・ガスビル。写真はその時に撮られたもの。まだ御堂筋は完成していないころとなる(提供:大阪ガス)

 同社によると、ガスビル(現在の南館)は1933(昭和8)年3月に約3年の歳月をかけ完成。当時は現在と違い「ガス」というものが、まだ一般的ではなかった。

 そこで、1935年に地下1階にガスを使って調理した料理などを販売する「実演販売街」を開業。翌年には地下1階グリルを新設し、ガス器具陳列場をはじめ、講演場や料理講習室などを設置し、ガスの利便性を広く周知する場として多くの人に親しまれたという。

地下に明かりを 1階地面に埋め込まれたガラスブロック

[写真]1階地面に設置されているガラスブロック。地下の明かりをとるために作られた。戦時中はコンクリートを上に置くなどして被害を免れたという(撮影:柳曽文隆)

 筆者が取材で同ビルに入ろうとすると、地面に透明ではないが大きなガラス窓のようなものがあった。このビルを管理する大阪ガスファシリティーズの坂元智さんは「これはガラスブロックです。実はこれ、地下のフロアの明かりをとるために作られたんです。これは現在も使われてるんですよ」と笑顔で話してくれた。

 もちろん、誰もが歩く際に踏むため頑丈に作られている。厚みが15ミリのすりガラス板を2枚はり合わせ、ふちには鉄が使われている。

 戦時中は、空襲による爆撃の被害を避けるため、上にコンクリートを敷くなどして被害防止を図った。そして、現在も残されている。

壁面のタイルは全部で265万枚

[写真]1階の勿来産黒御影石、稲田産白御影石が使われている部分。この黒御影石は現在では手に入らないという(撮影:柳曽文隆)

 同ビルのタイルが使われた壁面にも注目したい。坂元さんは「全部で265万枚のタイルを1枚ずつはりつけたものなんですよ」と話す。

 職人が1枚3秒のペースでていねいに手作業ではったものと聞いているという。ちょうど取材の際は、10年に1度のタイルのメンテナンス工事が行われている最中で、悪いものは取り替える作業も行われているそうだ。

 1階の大きな窓もベルギー産の平板ガラスを使用。曲面のある部分は日本に届いてから曲げたそうだ。また、1階と2階の外壁には、福島県の勿来産黒御影石、茨城県の稲田産白御影石が使われている。この黒御影石は、現在では手に入らないとても貴重なものと坂元さんは説明した。

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