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 ブランドの愛称が決まった南河内特産の高級イチゴ「ちはや姫」のお披露目を兼ねた有料試食会がこのほど、大阪市内のレストランで開かれ、参加者がその日の朝に採れたばかりの完熟イチゴに舌鼓を打った。「ちはや姫」は大粒で、濃厚な甘みが特色。生産地では新規就農者を育てて地域再生を目指すプロジェクトが進行中だ。

【拡大写真付き】イチゴと棚田で千早赤阪村を元気に 府と村が合同プロジェクト

南河内特産の高級イチゴの愛称決定

[写真]会場に展示された「ちはや姫」

 この試食会は「南河内いちごの楽園スイーツフォーラム」と題したイベントの中で行われた。会場入り口には「ちはや姫」が展示され、参加者を出迎えた。ひと粒が長さ5センチ前後、重さ40グラム以上で、真っ赤に熟した完熟ぶりは心地よく食欲を刺激する。タレントの中島史恵さんと野菜ソムリエの西村有加さんによるトークショーの後「ちはや姫」生産者、棟田真さんの栽培報告に続いてオリジナル料理が発表された。

 料理はオードブルとデザートの2品。2品とも「ちはや姫」の他にも大阪産の食材を組み合わせ、大阪色の強い作品に仕上がった。女性参加者に「ちはや姫」の印象を聞くと、「柔らかく美味しい」「甘くて適度な酸味もあり、味が濃い」「香りがいい」と、評判は上々だった。

 一方、大阪府在住の50代男性会社員は、農業に少し関心を持ち始め参加。今後の人生設計は未定としながらも「大阪でイチゴを栽培するというのは意外性がありますね」と、料理を味わいながら話していた。

品質管理に手間がかかるも直売即完売の人気ぶり

[写真]高級イチゴ「ちはや姫」を使った料理を味わう参加者たち=大阪市北区の旬穀旬菜グランフロント大阪店

 大阪府や河南町、千早赤阪村などの行政は、JAや民間企業の応援団が連携し、イチゴで地域の活性化を促す「南河内いちごの楽園プロジェクト」を推進中だ。

 河南町と千早赤阪村で若手農家が生産する高級イチゴのブランド化に向け、愛称とロゴマークを公募。審査の結果、ブランド名は「ちはや姫」に決定した。地元ゆかりの武将楠木正成の娘「千早姫」にちなんだネーミングだという。

 生産者の棟田さんは元会社員で、2014年に就農。農場近くでイチゴを直売。開店直後に完売という人気を誇るものの「品質管理に手間がかかるため、作業をこなすのに精一杯」と、慢心はない。

 棟田さんは「個人的には『ちはや姫』の完熟のおいしさを知っていただくため、当面の間、毎日熟成ぶりを見定めて提供できる直売方式を最優先したい」と、完熟出荷を重視。「さらに品質を高めてブランド力を確立し、後輩の生産者たちが流通ルートを活用して躍進できるよう基礎固めをしたい」と、将来を見据えて意気込む。

 千早赤阪村は人口が減少し、大阪府内で唯一国の過疎地域に指定されている。棟田さんらがイチゴの生産に取り組み、試行錯誤を経て軌道に乗り始めた。官民連携のプロジェクトで新規就農者を育成し、数年後にはイチゴ栽培で村の再生を目指す。「ちはや姫」が真っ赤な救世主となるか。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)