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 映画「マンハント」の撮影は順調に進んでいった。近鉄グループホールディングス広報部の福原稔浩さんは、ジョン・ウー監督に様々なロケ地候補を案内し、撮影のサポート全般を行ってきた。そんな中、大阪らしさが出せる場所をいくつも提案した。

【拡大写真と動画】「マンハント」大阪ロケ撮影秘話<中> 上本町駅で電車逆走・ハルカス空撮

大阪ということで『水都』らしさを撮ってほしい

[写真]近鉄上本町で行われた撮影風景(福原稔浩さん提供)

 大阪市中央区の中之島周辺もそのひとつ。ジョン・ウー監督側は「御堂筋」を使ったカーチェイスを想定していた。しかし、大阪は水運に支えられて経済と文化の中心的都市として発展し、明治の頃には水の都と呼ばれたように、「水都」の一面もある。

 福原さんは、ウー監督ら一行を水上バスに乗せ遊覧した。大阪市中央公会堂や大阪市役所など特徴的な建物の数々も案内した。すると翌日、スタッフらが手にする撮影の絵コンテに変化があった。

[写真]水上バスでロケ地候補を案内した(福原稔浩さん提供)

 「前日まで御堂筋でのカーチェイスシーンを描いていたのに、その日は川での水上バイクの激しいシーンの絵に変わっていました。やはり、大阪ということで『水都』らしさを撮ってほしいという思いが通じたのかもしれませんね」と福原さんは振り返る。

 映画ではチャン・ハンユーと福山雅治による激しい水上バイクのアクションシーンが実現していた。

大阪のおでん店で知ったウー監督の撮影への思い

[写真]ジョン・ウー監督(左)と福原さん(福原稔浩さん提供)

 ウー監督と行動を共にしていたある日、移動の車中で悩んでいる監督の姿が気になった福原さん。一緒にいた美術監督の種田陽平さんもその異変に気づき、その日のうちに大阪府内のおでん店へ連れて行った。

 「その席で、ウー監督は酒をかわしながら、自身の日本映画への憧れを3時間語ってくれました。高倉健さんへの熱い思い。そして日本で映画を撮りたかったという思い。初めてアメリカへ行ったときに体験した辛い経験をハングリー精神で乗り越えた話とか。通訳さんを介してでしたけれど、私もその話を聞いて目頭が熱くなりました」と福原さん。翌日から、ウー監督は元気に撮影を再開したという。

 また、ウー監督を大阪市西成区のあいりん地区へ車で案内し、その様子を詳しく説明。後に、そのイメージをそのままに大阪市住之江区の造船所跡地にセットで再現し、ストーリーに取り入れた。

 そして、岡山県の国立公園・蒜山に本物同様の牧場のセットを作り、鳥取県の花見山スキー場ではカーチェイスなどアクションシーンを撮影。福原さんは、ほとんどのロケ地でサポートし、撮影を見守った。

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