[写真]床に散乱した本を整理し再開を目指す奥野明店主=18日夜、大阪市旭区の千賀書房で(撮影:岡村雅之)

 大阪府北部で震度6弱を観測した地震で、震度5強を記録した大阪市旭区の古書店「千賀書房」では18日夜になっても、書棚から落下して床に散らばったり本との格闘に追われていた。18日はやむなく休業。店主の奥野明さんは「お客さんが待っているので、なんとか早く店を再開したい」と表情を引き締めていた。

大阪市北区などで震度6弱、大阪府北部震源 各地の震度

衝撃で床が見えないほど本が散乱

 「地震のため本の整理が必要となりましたので休業します」。交通網が徐々に運行を再開し、まちに平安が戻りつつあるころになっても、臨時休業の告知を張り出したシャッターの奥で、奥野さんはTシャツ姿で汗まみれになっていた。

 蔵書は10万冊。日ごろは書棚に本が整然と並ぶが、床に散らばった本がうず高く積み上がっている。地震の衝撃で書棚の上部から豪華本や全集などが落下。併せて特注の文庫専用棚がねじ曲がって飛び出し、大量の文庫本が投げ出された。床が見えず、足の踏み場がない。

 地震発生後、奥野さんはビル2階の自宅から1階店舗へ。散乱する本の山に直面し、復旧のためやむなく臨時休業を決定。1冊ずつ方向がバラバラでまとまりのない本を棚に戻す作業は、なかなかはかどらない。記者が午後6時すぎに訪問すると、本の整理を黙々とこなしていた奥野さん。

 「朝からの作業でようやく半分片付いた。待ってるお客さんがいるので、なんとか19日は再開したい」と、表情を引き締めた。

阪神淡路大震災後の耐震工事で被害を軽減

[写真]ショーウィンドーを飾る代表的書籍も一部落下=18日夜、大阪市旭区の千賀書房で(撮影:岡村雅之)

 厳しい表情ながらも、口調の柔らかさには理由がある。創業は1979年。95年の阪神淡路大震災で、店舗は直撃を受けた。

 「書棚そのものが倒れて大きな損害に苦しんだ。改修の際、震災の体験から学び、書棚と天井を連結する耐震構造を取り入れたため、致命的な書棚の倒壊は免れた。教訓を生かすことで比較的軽い被害で済んだと受け止めたい」(奥野さん)

 哲学思想から映画演劇、アイドル写真集やサブカルチャーに至るまで、品ぞろえの間口は広い。店頭のショーウィンドーにはていねいな包装を施した各ジャンルの逸品を展示。地震の衝撃で一部は落下したが、奥野さんは最後にしっかり再配置したうえで店を開けるという。「似た者同士が集まり、濃密に付き合える人間関係が古書店のだいご味」と、本を整理する手に力がこもる。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)