Osaka Metro谷町九丁目駅で

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 Osaka Metro(大阪メトロ)の谷町九丁目駅(大阪市天王寺区)の駅長室前にカブト虫の車両型飼育箱「カブト虫電車」が設置され、夏休み中の子どもたちを楽しませている。採集から飼育、車両型の大きな飼育箱の製造まで、駅員たちの自主企画だという。

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谷町線車両型飼育箱はカブトムシで「満席」に

[写真]子どもたちが「カブトムシ電車」を観察=大阪市天王寺区で(撮影:岡村雅之)

 「カブト虫やー」「いっぱい、おるーっ」。駅長室前に設置された車両型飼育箱を取り囲んで、子どもたちの歓声が響く。

 カブト虫の採集、飼育から飼育箱まで駅員たちの自主企画、今年で3回目の夏を迎えた。今年4月に市営地下鉄の民営化を記念し、車両型の飼育箱も一新。モデルは設置場所の前を走る谷町線の30000系。車両の長さが124センチ、幅と高さが65センチと、昨年までと比べ、ひと回り大きくなった。

 車両型飼育箱の大型化に伴い「乗客」であるカブト虫の数も増加。常時、100匹近く飼育されているという。エサのゼリーを食べたり、のぼり木を動き回る姿が愛くるしい。窓部分の素材を金網から透明なアクリル板に変更し、観察時の安全性を向上。車両設置の高さをやや低くして、幼い子どもが観察しやすいよう工夫を凝らす。

 お揃いのカブト虫のイラスト入りTシャツを着こんだ兄弟が、熱心にのぞきこむ。4歳の兄は駅員にカブト虫を持たせてもらい、「うれしい」と、興奮気味だった。

 父親によると「昨年観察した長男が今年も見たいと言い出しまして」と、2年連続のご対面となった。長男は昆虫が好きで、よく図鑑を広げているという。

 別の男の子は「怖くない、さわれる」と胸を張る。魅力はズバリ「強いところ」。アニメやゲームで妖怪やモンスターが活躍する時代を迎えても、子どもたちにとってカブト虫は、永遠のヒーローのようだ。

駅員独自の企画で「親しまれる駅づくり」を

[写真]「カブト虫電車」リーダー格の吉村浩嘉助役。「独自企画で親しまれる駅づくりを目指します」

 駅員有志が毎年、自主的に採集。虫たちが活発に動く夜間、長袖シャツ長ズボンの完全防備姿で里山へ分け入り、採集作戦を展開している。

 「今年は当初、カブト虫がほとんど見つからず焦りました」と振り返るのは、「隊長」と呼ばれプロジェクトを率いる吉村浩嘉助役。「気持ちの熱い駅員たちが協力して採集してくれたおかげで、少し遅れましたが今年も実現することができました。子どもたちの笑顔に、苦労も吹き飛びます」と話す。

「これまで以上に親しまれる駅づくりを目指す」

[写真]カブト虫電車の車内は「満席」状態だ

 都会の地下にいながらにして、季節の移ろいや自然の大切さを感じ取れる貴重なひとときだ。

 吉村さんは「今年4月大阪メトロに生まれ変わり、これまで以上に親しまれる駅づくりを目指しています。カブト虫電車を夏の恒例イベントに育てたい。カブト虫電車なら『谷町九丁目駅』と覚えていただき、大阪メトロを末永くご利用いただけたら」と、長期的視点で臨む。

 カブト虫が元気に活動する様子を観察してもらうため、虫たちの健康状態を見守りながら16日ごろまで展示する予定だ。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)